英文契約書の用語・単語 損害と損害賠償の表現(その1)

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英文契約書の定番用語の1つに「損害」と「損害賠償」があります。今回は、これらを表す言葉のいくつかを中心に見てみます。なを、ここでは「損害賠償」という言葉が英文契約書でどのように使われているかを契約書翻訳の視点から概説します。

1. 「damages」を使った表現

「damages」は、見た通り「damage」の複数形です。「damage」は、(人や物の価値を減らす)損害、被害、ダメージ、損傷を表しています。これを複数形にした「Damages」は、損害賠償、損害賠償金、損害賠償額の意味で使用されます。ただし、「damages」となっていても例えば文脈的に「損害箇所が複数個所に渡る場合」を表す場合は、単なる「損害、被害」等を意味する場合あります。

Cambridge Dictionaryでは「Damages」を以下の様に定義しています。

Damages(名詞の複数形):money that is paid to someone by a person or organization who was responsible for causing some injury or loss.(怪我や損失を生じた責任を有する個人または組織により誰かに支払われる金額。)

They were awarded $500,000 in damages. (彼らには500,000ドルの損害賠償が支払われました。)

冒頭に、「damage」は、「損害」の意味で使われ、「damages」は、「損害賠償」の意味で使用されるとしましたが、経験的には文脈的に「damage」が損害賠償の意味で使用されていることもあります。理由の1つとしては、英文契約書といってもネイティブ以外のさまざまな国の人々が契約書を起草することが一因かもしれません。以下に、「damage」と「damages」を使った例文を作成してみました(法律の条文を除く)。

 (1) 例文:単なる「損害」を表す「damage」

(a) 普通の文章で使われる場合の例です。

The roof broke due to the typhoon. It’s lot of damage. It caused lot of severe damage here and there.(台風で屋根が壊れた。大変な損害だ。あちこちで甚大な被害に見舞われた)

Too much drinking alcohol may damage your body.(たくさん飲むと健康に良くない)

The typhoon that hit Japan in 2019 damaged houses a lot, causing trees to be knocked down. (2019年に日本を襲った台風は、家々に損害を与え、木々をなぎ倒した)

(b) 英文契約書の中で使われる場合の例。

Seller shall be responsible for and shall bear risk of loss and damage to the Goods, or portions thereof until they are delivered to and are accepted by Buyer. (売り手は、商品またはその一部が買い手に納品され、受領されるまで、その商品またはその一部の損失および損害についての責任を負い、その危険を負担する)

Seller shall indemnify and hold Buyer harmless against any loss or damage resulting from any claim made by end users. (売主は、エンドユーザーの請求に起因する損失または損害に対して買主を補償し、免責する)

(2) 例文:損害賠償を意味する「damages」

If Party A suffers any loss or damage due to a violation of provisions of the Agreement by Party B that it discloses the Confidential Information to any third party without a written consent of Party A,  Party A may clam for all damages from Party B.(当事者Aが、当事者Bが機密情報を当事者Aの書面による同意なしに第三者に開示するという当事者Bによる本契約の条項に違反により、損失または損害を受けた場合、当事者Aは当事者Bにすべての損害賠償を請求できる)

In no event shall 1st Party be liable for indirect, special, incidental, punitive or consequential damages, including, but not limited to, lost profits(いかなる場合も、第一者は、利益の損失を含むがこれらに限定されない、間接的、特別、偶発的、懲罰的、または結果的な損害に対して責任を負わない)

In no event will Party B be liable for damages cause by Party A’s fault.( いかなる場合も、当事者Bは、当事者Aの過失によって生じた損害について損害賠償責任を負わない)

The parties hereto shall accept a liability for damages to the other party to a required extent. (本契約の当事者は、必要な範囲で相手方に対する損害賠償責任を負う)

The parties may agree on the amount of the liquidated damages with respect to the failure to perform the obligation. (当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。)(民法)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01)

Unless other intention is manifested, the amount of the damages shall be determined with reference to monetary value. (損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める)(民法

2.「損害賠償を請求する」、「損害賠償の訴訟を起こす」の表現の表現について。

「損害賠償を請求する」は、claim [demand] damagesですが、claim for [demand] damagesでも同じ意味になります。

「損害賠償の訴訟を起こす」は、go to law (against somebody) for damages      sue somebody for damages等となります。.

  1. 「damage」の動詞としての使われ方

これまで見てきた「damage」と「damages」は、いずれも名詞としての使われ方でしたが、「damage」は動詞としても使われます。例えば、購入した製品を組み立てる場合、マニュアルのインストラクションに以下の注意書きが入っていることが良くあります。

Please be careful not to damage any parts when you assemble the product. (製品を組み立てる際は、部品を傷つけないようにご注意ください)

Be sure to align the connector in the proper orientation so that you do not damage the pins on your motherboard. (マザーボード上のピンの損傷を防ぐため、コネクタを正しい方向で接続するよう注意してください)

This does not damage the common interests of the company’s shareholders, but rather contributes to their interests. (これが、当社の株主の共同利益を損なうことはなく、むしろその利益に貢献します)

参考までに日本の法律ですが、「損害」と「損害賠償」の意味を法律用語辞典で見ると、「損害とは、債務不履行や権利の侵害等により受ける不利益。損害賠償のという法律効果を生じさせる要件の1つ。以下省略」。「損害賠償とは一定の事由に基づき他人に与えた損害を填補して損害がなかったのと同じ状態にすること。-中略-代表的な例は、民法規定の債務不履行または不法行為に基づくもの(民法415条以下、709条以下)-以下省略」とあります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

研究社新英和辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の用語・単語 establishとestate

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今回は、英文契約書で使用されるestablishestateについて作成した例文その他を通して契約書翻訳の視点から英文契約書での使われ方の一例を作成した例文(法律の条文を除く)その他を通して見てみます。いずれの言葉の英語の常として1つの言葉がいろいろな意味を持ちますが、英文契約書で使用される頻度の高いものいくつか取り上げています。

establish (事業、組織などを)立ち上げる、創立する、設立する、築く、(制度、法律などを)制定する、(~を)立証する。名詞形は「establishment」

This Agreement shall not establish between Party A and Party B any partnership, joint-venture, employment relationship, confidential relationship, fiduciary relationship or any other type of relationship.(本契約は、当事者Aと当事者Bとの間にパートーナーシップ、ジョイントベンチャー、雇用関係、信頼関係、信任関係、もしくはいかなるその他の種類の関係も構築しない)

The Seller shall not establish any branch or maintain any depot for the distribution of the Products outside the Market.(売主は、市場外に製品を流通するための支店を設立せず、または倉庫を維持しない)

The Supplier and the Distributor have agreed to enter into this Agreement for the purpose of establishing a supply and distribution agreement between them for the Products in Territory. (サプライヤーとディストリビューターは、販売区域内の製品の供給および販売契約を設定する目的のために、本契約を締結することに合意した。)

In order to establish a Certified Administrative Procedures Legal Specialist Corporation, the Certified Administrative Procedures Legal Specialists who are to become members thereof must adopt the articles of incorporation in cooperation with each other.(行政書士法人を設立するには、その社員となろうとする行政書士が、共同して定款を定めなければならない。)(行政書士法

 

estate 地所、財産,所有財、財産権、不動産権、所有権、遺産、受益権、(財産などの)承継人、personal estate(動産)、real estate(不動産)

「estate」単体で使われる場合もありますが、やはり「real estate:不動産」として使われることが多いようです。

“Real Estate Taxes” shall mean the sum of the real estate taxes and assessments and special assessments imposed upon the Building and the plot of land on which the Building stands (the “Land”).(「固定資産税」とは、本建物およびそれが立っている土地の区画(「本土地」)に課される固定資産税、賦課金および特別賦課金を意味する)

Lessor shall keep a copy of tax bill of taxing authority imposing Real Estate Taxes on the Land or the Building as evidence of the amount of Real Estate Taxes.(賃貸人は、固定資産税の額の証拠として、土地または建物に固定資産税を課す税務当局の課税請求書のコピーを保管する)

A written petition for a ruling of the division of an estate must state the following particulars, and an inventory of property must be attached thereto:(遺産の分割の審判の申立書には、次に掲げる事項を記載し、かつ、遺産の目録を添付しなければならない。)(家事事件手続規則)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01

ついでに「estate」かかわる言葉で、「e」から始まるevacuation(立ち退き)があります。

動詞は「evacuate」。余談ですが、以前いた米国のとある事務所で仕事中に非常ベルが鳴りだし(電子レンジからの煙)、誰かが「evacuate! evacuate!」と叫んで退避をうながされた経験があり、そのためかevacuationというと不動産賃貸契約で時に使われる「立ち退き」よりも、「避難」というイメージが先行します(辞書により「evacuation=避難」が最初に書いてあるもののありますが)。このときは自分も含め部屋にいた全員が言葉の意味を理解しても、なぜか自分を含め、その場にいた方たちも身体がついていかなかったことを思い出します。やはり避難訓練は大事です。ついでなのでテナント契約などでたまにみかける避難計画について定めた例文を作ってみました。

The lessee shall establish measures such as evacuation and rescue plans and shall implement fire and/or earthquake exercise once a year for the safety of its employees.(賃借人は、従業員の安全のために避難計画や救助計画などの対策を講じ、年に1回、火災および/または地震訓練を実施する。)

例文にもありますが、Lessor(賃貸人)とLessee(賃借人)は、不動産貸借契約などでの必須単語の一部なので覚えておくと便利です。なを、不動産にかかわる契約は、その国ごとあるいはその国の地域の法律により、その国や地域ごとに様々な特色があり、翻訳の難易度が高くなることも多くあります。

参考図書:

法律英単語ハンドブック(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書の単語・用語 subject toについて

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今回は、英文契約書、法律文書はもとより、技術文書やビジネス文、各種論文、その他、様々な分野で使かわれる、「subject to」について、契約書翻訳の視点から見てみます。

まずは、「subject to」を構成する「subject」というと、まず思い浮かぶのは、名詞として使われる「主題、題目、科目」とか「対象」です(他にもいろいろありますが)。英語の常として1つの単語がいろいろな意味を持つ場合が多く、「subject」も例外ではありません。

1. 「subject to」の日常的な使われ方の

契約書や法律文以外での「subject to」の日常的な(一般的)使われ方を見てみます。ここでは、「subject to」の日常的な使われ方の中から契約書翻訳で使われることが多い意味合いを持つ使われ方を、とくに形容詞と動詞としての用例の中からいくつかピックアップしてみました。

(1)「~従う、~支配されている、~依存する」

Weather is fundamentally subject to the laws of nature. (本来、天気は自然の法則に支配されている)

We are subject to the laws of the State of California.(カリフォルニア州の法律に従う)

(2)「~を受ける、~を余儀なくされる、~を免れない」

He is subject to criticism(批判にさらされている)

All beings are subject to death.(すべての人間は死を免れない)

「(罰金)を科せられる」

He is subject to a fine of 5000 yen (罰金5,000円が科せられる)

(3)「~を条件として、~を必要とする」

Subject to his approval, we can advance a project.(彼の承諾が得られれば、計画を進められる)

All treaties are subject to the ratification of the Diet. (すべての条約は議会の批准を必要とする)

His consent is subject to your approval. (彼の同意はあなたの承認が必要です)

「~に従わせる、の影響下に置く」

The schedule is subject to change without a prior notice. (スケジュールは、予告なく変更されることがあります)

This transaction shall be subject to an approval of the board of directors.(この取引は、取締役会の承認を必要とする)

(4)「受けさせる、こうむらせる」

He is subjected to cruel punishment. (ひどい罰を受ける)

日常的な(一般的な)使われ方としましたが、「subject to」自体が固い表現なので(少なくとも口語体ではないので)、例えば、上記のSubject to his approval, we can advance a project.は、「If we obtain his approval,     」とすることで分かりやすい文章になるし、This transaction shall be subject to an approval of the board of directors.などは、「This transaction requires an approval of the board of directors.」と分かりやすい文章になります。

2.「subject to」が英文契約書で使われる場合の例

作成した例文により(法律の条文を除く)、特に類型にかかわりなく英文契約書で使われる場合の例を列記してみます。

Subject to the completion of this Agreement between XXX and YYY,                  (XXXとYYY間の契約の成立に基づき(契約の成立を条件とし、       ))

The foregoing clause is subject to change based on coordination between the parties hereto. (上記の条項は、本契約の当事者かの協議により変更されることがある)

Intangible assets (that are) subject to amortization shall be as follows:(償却対象の無形資産は次のとおりとする)

Shares subject to the takeover bid       (株式公開買い付けの対象となる株式     

Any condition not provided for in the Purchase Order shall be subject to the conditions under this Agreement. (注文書に規定されていない条件は、本契約に基づく条件に従う。)

Party shall be subject to a contractual penalty in a case of his or her violation of this Agreement(当事者は、本契約に違反した場合、契約上の罰則の対象となる)

The purpose of this Agreement shall be an assignment of the intellectual property subject to the master agreement. (本契約の目的は、基本契約に基づく知的財産の譲渡であるものとする。)

This Agreement constitutes the full and entire understanding and agreement among the parties with regard to the subject hereof. (本契約は、本契約の主題に関する当事者間の完全な了解および合意を構成する。)これは、「subject to」の例ではなく、「subject」が単体で名詞として使われた例。

A person as referred to in one of the following items is subject to a criminal fine or petty fine of not more than 20,000 yen: (次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は科料に処する。)(道路交通法

Parties to a contract may freely decide the terms of the contract, subject to the restrictions prescribed by laws and regulations.(契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。)(民法

The obligor may not assert the benefit of time stipulation if:(i) the obligor has become subject to the order commencing bankruptcy proceeding;(次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。(民法

3. まとめ

「1. 「subject to」の日常的な使われ方の用例」でいくつかの類型を紹介しましが、「2.「subject to」が英文契約書で使われる場合の例」でわかるように、実際の訳文では、文脈的に、かつその契約の内容を踏まえて適切な訳語を当てはめる必要があります。これは「subject」という言葉が持つ2面性-ある者・事に「従う」、ある者・事を「従える」意味を持つということに起因するかもしれません。辞書ざっとみただけでも、(動詞・形容詞としての用法は別として)例えば、(法律・規則・法則などに)従う(ものとする)、~の支配下に置く、~に服従させる等とあります。英文を日本語にする場合は、文脈的に正しく訳すことが必要ですが、日本語から英語にする場合、なれないうちは、慣用句的な内容をのぞき、とくに「subject to」を使わずに、わかりやすい言葉を使用すするのが良いかと思われます。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Merriam-Webster (Webster)

法律英単語バンドブック(自由国民社)

英文契約書の書き方(日経文庫)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

「subject」の語源については、The New Oxford Dictionary of Englishに記載の内容と以下に記します

-origin Middle English (in the sense ‘(person) owing obedience’): from Old French stiget, from Latin subjectus ‘brought under’, past participle of subicere, from sub- ‘under’ + jacere ‘throw’.

Senses relating to philosophy, logic, and grammar are derived ultimately from Aristotle’s use of to hupokeimenon meaning ‘material from which things are made’ and ‘subject of attributes and Predicates’.

(-起源中英語(「従順」という意味(人)で):古フランス語のstigetから、ラテン語のsubjectusから「持ち込まれた」、subicereの過去分詞、sub-から「under」+ jacere「throw」。哲学、論理、および文法に関連する感覚は、最終的には、アリストテレスが「物を作る材料」および「属性と述語の主語」を意味する基体を使用することに由来します。)

「基体」とは、

基体、またはヒュポケイメノンとは、形而上学の概念の一つであり、アリストテレス哲学の用語である。受動の動詞「下に置かれる」の現在分詞中性形で、直訳すれば「下に置かれているもの・こと」を意味し、「ある議論ないし理論において何かを述べたり規定したりするときにその前提とされているもの」を指す。 ウィキペディア

例文に訳文が付いている場合、それらの訳文は暫定訳(法律文を除く)です。
本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。お客様が行ったAI翻訳の校正も承っております。

英文契約書のブログについてのあれこれ(その4)

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契約書翻訳 のアイエヌジースでは、以前からホームページのブログで、英文契約書を理解するうえで即戦力として役立つノウハウをお届けしています。いずれもその内容に即したわかりやすい例文を作成し(法律の条文を除く)、英文契約書に対する理解を深める一助になればと考えております。そこでここ何年かぶりにアクセスされる皆様がどのようなトピックに興味をお持ちなのか、過去12ヵ月間のアクセス数の多かった順に5位までを見てみると以下のような結果になりました。

1.英文契約書の用語、構文 (その22)(別紙/付属文書について)

2.英文契約書の用語、構文(その14) 「条、項について」

3.英文契約書における「and/or」

4.英文契約書の用語、構文「thereof, thereafter, therein, thereto等」(その3)

5.英文契約書の用語、構文 (その18) 「in witness」、「whereas」、「now, therefore」、「Recitals」

 

1位から5位までは、ここ数年ほとんど順位は変わっていません。契約書の翻訳者としてはごく当たり前で誰でも知っているような事柄ですが、多分、これから英文契約書に向かい合う必要がある方々にはなじみのない分野かもしれません。当然ですが、検索されたキーワードも上記の内容にかかわる言葉が上位を占めていました。

 

ちなみに6位から9位は、以下のような結果で、これも多少の入れ替わりはあるにせよ、ここ数年同じような顔ぶれです。

 

6.英文契約書の用語(Proprietary RightsとIntellectual Property Rights)その1 

7.英文契約書の用語と構文 (その24) 「有効」「無効」等について

8.英文契約書の用語、構文(その17)「free from….」、「in duplicate」、「whereof」

9.英文契約書の用語、(その15)「null and void」、「assign and transfer」

(9位までしかないのは、アクセス数でトップページが4位にあり、ブログサイトだけを抜き出したためです。)

古いものでは、2014年6月に掲載されたものです。

これらの結果を参考にして、皆様のご興味を引いたブログの内容をさらに加筆したものを掲載できればと考えています。また、今後共、ブログのコンセプトを、従来通り、実践的で、皆様のお役に立つようなものを目指していきたいと思います。

当方のブログが、特に、英文契約書に初めてかかわる皆様のお役に立てれば幸いです。

英文契約書の用語・単語

英文契約書の用語・単語 equityについて

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今回は、英文契約書でみかける言葉「equity」について契約書翻訳の視点から見てみます。

equity 衡平法、持分、公平、エクイティ、
普通株

「equity」という言葉は、英文契約書ではある種、定番的にみかける言葉です。いろいろな意味がありますが、equityの法律的な意味の場合、辞書を見ると、「慣習法(common law)の欠点を公正と正義で補う英米法の体系」とあります。衡平法については、多くの専門書をはじめ、ウェッブ上でも、とくに専門家の方々による分かりやすい解説が多くなされています。

「equity」の使われ方として(1)「衡平法(equity)」としての意味で使われるほか、(2)「衡平法」以外の意味でequityが使われます。ここでは、英文契約書で「equity」がどのように使われているか、それぞれの例を作成した例文(法律の条文を除く)を通していくつか取り上げてみます。

(1) 衡平法」としての意味での使い方

The rights and remedies provided under this Agreement shall be cumulative and in addition to any other rights and remedies provided by law or equity or those provide under the Uniform Commercial Code (UCC).   (本契約に基づき提供される権利と救済は、累積的であり、法律もしくは衡平法が提供するその他の権利と救済策または統一商事法典に基づき提供される権利と救済策に追加される)

Any remedy hereunder shall be in addition to all other remedies available at law or in equity. (本契約に基づく救済は、法律または衡平法上で適用可能なその他のすべての救済策に追加される)

なを、「equity」は、訳によっては、「エクイティ」と訳される場合があります。

(2) 衡平法」としての意味でない使い方

株式・金融・会計・保険等にかかわる分野で良く見かけられますが、その意味も分野・文脈によりさまざまです。従って、「equity」という言葉が使われている分野・文脈を把握して個々の内容に応じて訳すことになります。以下に書き出したのは、ここ数年で遭遇したものの一部です。これ以外にも相当多くの意味と使われ方があり、辞書を参照するのは必須です。

equity(正味資産、純資産額:net asset-市場価格から担保などを引いた価格)

equity(株式・普通株)

equity capital(自己資本、払い込み資本)

shareholder’s equity(株主資本:企業の資産から負債を差し引いた残り))

equity market(株式市場:stock market)

equity securities(所有株式、 持分証券・持ち株証券:株式)

equity interest(持分・株主持分)

investment equity; equity in investment(出資持分)

The subcontractor shall have one-third or more of the then outstanding voting shares of the outstanding equity securities of or equity interest in the subcontractor. (請負業者は、下請業者の発行済み株式または持分のその時点における発行済み議決権株式の3分の1以上を保有するものとします)

If the Contractor sells its equity/shares or assets to third party, the Contractor shall inform prime contractor of it in advance. (下請業者がその株主資本/株式または資産を第三者に売却する場合、下請業者は事前に元請業者に通知するものとします。)

The term “shares, etc.” as used in this Act means shares or equity interest. (この法律において「株式等」とは、株式又は持分をいう)(銀行法

a merger with a Subsidiary Company of which the Listed Company, etc. holds all of the issued shares or equity (excluding the case of dissolution as a result of merger).(発行済株式又は持分の全部を所有する子会社との合併(合併により解散する場合を除く。)(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令

「equity」の 衡平法としての意味でない使い方の例をいくつかあげてみましたが、この分野は相当奥が深く、本来、分野ごとに見てゆく必要があります。興味のある分野でもあるため機会があれば、分野ごとに調べてまとめたものを出してみたいと思います。なを、用例については、いずれも作成した具体的例文(法律の条文を除く)を通して契約書翻訳の観点から見てゆきます。法律的な意味や解釈については、専門書を参照してください。

参考図書:

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

新英和大辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語・単語

英文契約書の単語・用語 entrust(entrustment)による委託と受託(「まかせる」と「引き受ける」)の表現 (その2)

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前回に引き続き「entrust」を使った「委託」と「受託」の表現、普通の言葉で言えば、「まかせる」、「引き受ける」について、契約書翻訳の観点から見てみます。例文はいずれも当方で作成したものです(法律の条文を除く)。

  1. 委託者・受託者の表現

「entrust」から派生して「委託者」を表す単語は、「entrustor」、「受託者」を表す単語は、「entrustee」です。「trust」から派生した「trustor=委託者」「trustee=受託者」も多く使われます。

In case of an application for the indication of trust property with regard to shares or for the cancellation thereof, the trustor or the trustee shall file the application in the form designated by the Company together with the share certificates.(株式に関する信託財産の表示又はその抹消を請求するときは、委託者又は受託者は、当社所定の請求書に株券を添えて提出するものとする。)

そのほか「委託者」を表す単語には、settlor、consignor、assignor等があります。この中で、consignorは、主に「販売・運送等の委託」、settlorは、「信託」、に関連するものに多く使用されるようです。そのほか、委託者とされても、例えば、assignorは「財産・権利当の譲渡人・委託者」とされます。

なを、例えば、client: 依頼人、customer:顧客、依頼人等も、「何らかの物事を依頼する人」という意味がある場合、委託者とされることがあります。その意味では「委託者」という言葉は、広い意味で使用されるようです。例:調査会社の顧客(調査会社に調査を頼む人=依頼人)=委託者。

面倒なのは、日本語で「委託」とい言葉が使われている存在でも、その内容を見ると「受託者」であることがあります。例:委託先(委託を依頼する相手)=受託者(委託をうける側=委託を受けた者)。英訳に際しては注意が必要です。

This Agreement stipulates the conditions that the person entrusted with the food service on behalf of the food service provided by the Contractor.(本契約は、請負業者が提供するフードサービスに代わってフードサービスを委託した者(フードサービスの委託先)が行う条件を規定しています。)

The competent minister may have officials of the Ministry enter the office, factory, workplace, or warehouse of an automobile manufacturer, etc. or an entrustee and inspect the books, documents, and other objects pursuant to the provisions of Cabinet Order to the extent necessary for the enforcement of this Act, …………(主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、その職員に、自動車製造業者等又はその委託を受けた者の事務所、工場、事業場又は倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。)(使用済自動車の再資源化等に関する法律)

Entrustee shall, at all times during the Term and thereafter of this Agreement, keep all of such confidential information in confidence and trust. (受諾者は、本契約の期間中ならびにその後においても常に、当該機密情報のすべてを機密として保持し、かつ保管するものとする。)

If Party A entrusts the business process related to this Agreement to any third party, the provision under this Article shall be applicable to the entrusted party.(甲が、本契約にかかわる業務処理を第三者に委託する場合においても、その委託先に対し本条の定めが適用されるものとします。)

2.「entrust」を使用する以外の「委託」の表現と「委託」に準じた表現を持つ単語

和英辞典を見ると「委託」を表す単語は、「entrust」以外にも幾つかあります。調べたところこれらに共通しているのは、例えば、「委託」と訳される場合、冒頭に書いたように「委託:ゆだね任せること」から「ゆだねる」の意味を持って使われるときに「委託」と訳され、時として「委任」と訳されるようです。いずれも多義語で様々な意味もっています。その中のいくつかを見てみます。

1) trust

trustは、様々に意味を持つ多義語ですが、その中でも「信頼(安心)してまかせること」という意味合いで「保管」、「管理」をはじめ、ときとして「委託」の意味合いで使われることがあります。

He trusts the money to the bank. (お金を銀行に預ける)

I can trust you to do this work. (あなたにこの仕事を任せられます)

ただし、このような場合、普通は「entrust」が多く使われます。

He entrusts the money to the bank.

I can entrust you to do this work by yourself

This development was accomplished under the trust from the Government.(本開発は、政府から委託を受けて実施されました)

2) consign、consignment

Consignmentは、主に商品や貨物にかかわる委託:委託(販売)、託送、委託貨物、積送品、送り荷、委託販売品等にかかわって使用されるようですが、広義の「委託」として使われることもあるようです。

The company consigns the product.(会社は、商品を委託販売する)

Product Consignment Sales Agreement.(商品委託販売契約)

A document shall be delivered prior to conclusion of consignment contracts.(受託契約の締結前に、書面を交付するものとする)

3) commission

Commissionは、委託の意味で使われる場合、主に職権、職務、権限の委託・委任の意味で使われます。以下は、「~に権限を委託する」の動詞の例文です。

We commission him to negotiate on the matter.(その問題について彼に交渉を委託した)

Local government commissions the design of citizen hall to a private company.(地方自治体は、市民会館の設計を民間企業に委託している)

Committee members shall be commissioned by the Chairperson.(委員メンバーは、委員長が委嘱する)

4) delegate

Delegateは、委託の意味で使われる場合、多くはdelegation of authority: 権限の委任(または移譲)の意味で使用されます。

The Prime Minister shall delegate his/her authority under this Act (excluding that specified by Cabinet Order) to the Commissioner of the Financial Services Agency.(内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。)(銀行法

This delegation is still pending approval.(この委任はまだ承認待ちの状態です)

5) mandate

We will mandate as an auditor of our company to you.(あなたを当社の監査役に任命します)

The delegation of authority shall be governed by the provisions on mandate.(権限の委譲は、委任に関する規定に従うものとする)

6) request、ask

A public safety commission may ask a company or other corporation to handle all or part of the administrative processes related to abandonment penalties as prescribed in Article 51-4 (other than checking and confirmation processes, payment orders, demands, and measures to collect arrear.)(公安委員会は、第五十一条の四に規定する放置違反金に関する事務(確認事務、納付命令、督促及び滞納処分を除く)の全部又は一部を会社その他の法人に委託することができる)

(道路交通法)この文章に関して言えば、ask自体には、「委託する」の意味合いはないのですが、to以下の「to handle」(処理する、取り扱う)を加えて「~することを求める」=「委託する」という表現になっています。

Requestも同様な使い方をします。

ところで、これらの単語の意味として「委任」、「委託」に他に「付託」とか「負託」と書かれていることがあります。あらためて国語辞典で意味を確認してみると、例えば、「委任=仕事などを、他人にまかせること。委託すること」、「負託=責任を持たせて、任せること」、「付託=物事の処置などを任せること」とあり、「任せる」という点では共通しています。

「以上、entrust(entrustment)による委託と受託の表現と「entrust」を使用する以外の「委託」の表現と「委託」に準じた表現を持つ単語についてざっと大まかにみてみました。

自分で英文を作成する場合、なれないうちは基本的に「entrust」、「entrustment」を使うのが無難なようです。ただし、その場合でも文脈の流れや、言葉の前後の意味を吟味する必要があります。

参考図書:

法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語

英文契約書の単語・用語 entrust(entrustment)による委託と受託(「まかせる」と「引き受ける」)の表現 (その1)

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英文契約書に限らず、法律文書等でお目にかかるのが「委託」と「受託」という言葉です。

今回は、特に「entrust」とentrustの名詞形「entrustment」を使用した「委託」と「受託」の表現を中心に契約書翻訳の観点から見てゆきます。委託」と「受託」は、下にも書きましたが、普通の言葉で言えば、「まかせる」と「引き受ける」ということです。これらの単語の主な意味としては、「entrust: 任せる、委託する、委任する、預ける、信託する」。「entrustment: 委託」です。「委託」に対応する言葉は、「受託」です。「委託」という言葉が使われる「業務委託契約」などは、翻訳依頼が多い契約の1つです。

「委託」と「受託」の意味を改めて法律用語辞典でみると、

「委託 :一般的に法律行為または事実行為を他人または他の機関に依頼すること……。」「受託:一般的に委託、委嘱、あるいは請託を受けること……。」とあります。

難しく考えなくても国語辞典を見ると、「委託:ゆだね任せること、人に頼んで代わりにやってもらうこと」、「受託:頼まれて引き受けること。」とあります。

ここではそれぞれに使用される単語の知っておいて損はない具体的な用例の一部をとりあげます。

1. 「entrust」と「entrustment」他を使用した「委託」の表現

「委託」や「委託する」を表す単語は、「entrust」と「entrustment」の他にも、trust、 consignment、charge、commission、delegate等多くの単語がありますが、これらについては後述します。

ここでは「entrust」を中心に作成した例文を通していくつかの用例を見てみます(法律の条文を除く)。

なを、「entrust」を使った「委託する」の表現のパターンは、例えば「A person entrusts someone with something」,「A person entrusts something to someone」などです。

I entrust my business with him.(自分の仕事を彼に委託する)

I entrust him to my business .(自分の仕事を彼に委託する)

Party A shall entrust Party B with the sales of Party A’s products (hereinafter referred to as “Products”) for areas designated by Party A. (当事者Aは、当事者Aが指定した地域での当事者Aの製品(以下「製品」という)の販売を当事者Bに委託する)

Payment date and method are entrusted with the Board of directors. (支払日と支払方法は取締役会に委任されている)

Party A shall not entrust all or part of Party A’s business related to this Project to any third party without a prior written consent by Party B.(甲は、乙の事前の書面による承諾無しに、本プロジェクトに関連する甲の業務の全部若しくは一部を第三者に委託してはならない。)

A trust company may entrust a third party with part of its trust services as regards trust property that has been placed in trust with it only if all of the following requirements are fulfilled:(信託会社は、次に掲げるすべての要件を満たす場合に限り、その受託する信託財産について、信託業務の一部を第三者に委託することができる。)(信託業法

A prefectural governor, etc. may delegate custody of dogs and cats to an organization established for the purpose of animal welfare. (都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる。)(動物の愛護及び管理に関する法律

The Seller shall entrust the customs clearance of the Goods to the local agent. (売主は商品の通関手続きを現地代理店に委託する)。

Entrustment of Business and Property Management(業務及び財産の管理の委託)

Entrustment agreement(業務委託契約)

「entrust」の代わりに「trust」を使用することもできますが、一般的には「entrust」が使用されています。

2. 「entrust」と「entrustment」他を使用した「受託」の表現

「受託」を1語で表す単語は、trust、requisition、contract等があるようですが、「entrust」使った「受託する」の表現は、例えば「be entrusted with something」等となります。この場合「受託する」は「~を任せられる・~を委託される・委託を受ける=~受託する」と表現されます。trustを使う場合は、「be given something in trust」。

例えば、 A person who is entrusted with the services under paragraph (1) may not entrust the entrusted services to another person.(第一項の規定により業務の委託を受けた者は、当該委託に係る業務を再委託することができない。)(金融商品取引法

entrusting or becoming entrusted with one of the acts listed in the preceding items, or undertaking a request to brokerage such entrustment.(前各号のいずれかに掲げる行為の委託をし、又はその受託をし、若しくはその委託の取次ぎを受託すること)(商品先物取引法)(http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01)

The sales agent shall be entrusted with sales of the Products based on this Agreement within the sales territory. (販売代理店は、販売地域内での本契約に基づく製品の販売を委託される)

The executive officer (who is) entrusted with the day‑to‑day management shall be appointed by annually meeting of the board of directors. (日常の管理を委託された執行役員は、毎年、取締役会により任命される)

以上、「entrust」と「entrustment」他を使用した「委託」と「受託」の表現について簡単に見てきました。次回は、「委託者・受託者の表現」と「entrustを使用する以外の「委託」、「受託」の表現」についてです。

 

参考図書:法律用語辞典(有斐閣)

デジタル大辞泉(小学館)

法律英単語(自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベースシステム他

 

 

 

 

 

英文契約書の用語・単語(employeeからenforce)

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今回は、英文契約書で使用されるemployee、employer、enact、encroach、encroachment、encumbrance、endorse、endorser、enforceについて作成した例文その他を通して契約書翻訳の視点から英文契約書での使われ方の一例を作成した例文その他を通して見てみます。

employee 従業員、被用者、労務者
employer 使用者、雇用主

EmployeeとEmployerは、誰でも知っている言葉で、特に取り上げる必要もなかったのですが、良く使われるので例文を作ってみました。

Subcontractor is, and shall at all times be, an independent contractor with respect to all services rendered under this Agreement, and shall not be deemed an employee or agent of the parties. (下請業者は、常に、本契約にもとづき提供されるすべてのサービスについて、独立業務請負人であり、独立業務請負人であるものとし、本契約の当事者の従業員または代理人とみなされない。)

The parties hereto acknowledges that there is no employer/employee, principal/agent, joint venture, partnership relation or any other similar agreement between the parties. (本契約の両当事者は、両当事者間に、雇用者/被雇用者、親会社/代理人、ジョイントベンチャー、提携の関係またはその他の同様な契約が存在しないことを承認する。)

enact        (法律を)制定する、規定する

It is enacted by the Senate and House of Representatives of the United States of America.(米国上院と下院において制定される。)

Reference in this Agreement to any statute or statutory provision includes a reference to that statute or statutory provision as from time to time amended extended or re-enacted. (制定法もしくは制定法の条項に対する本契約における言及は、随時、変更、拡張または再制定される制定法もしくは制定法の条項に対する言及を含む。)

encroach        侵入する、侵害する
encroachment        境界侵奪,不法侵奪

If the Lessor finds that the Lessee has encroached beyond the boundaries of the leased land, the Lessee must, upon notice by the Lessor and at its own expense, immediately or within the time specified by the Lessor rectify and remove the encroachment to the Lessor’s satisfaction. (賃借人が、借地の境界を侵害していることを賃貸人が発見した場合、賃借人は、賃貸人からの通知を受け次第、自らの費用で、直ちにまたは賃貸人の指定する期限内に、当該不法侵奪状態を賃貸人の満足するように是正し、解消しなければならない。)

encumbrance(incumbrance)        (財産上の)負担(債務・抵当権など)、土地負担、土地、船舶上の担保

言葉の意味としては、仏語のじゃま物(者)、やっかい物(者)などからきているそうです。辞書を見ると、法律的な意味の場合、不動産に付帯する負担、債務、制限(抵当権等)と言うニュアンスで使われていることをよく見かけますが、不動産にかかわらず、財産上の負担、抵当権・債務として使用されるケースもそれなりに見受けられます。

The parties hereto shall not create, incur or permit any encumbrance, lien, security interest, mortgage, pledge, assignment or other hypothecation upon this Agreement or any right granted herein. (本契約の当事者は、本契約または本契約で付与された権利に基づき、いかなる債務、抵当権、動産担保権、担保、質権、譲渡、または、その他の担保契約を作成せず、負担せず、または、許可しないものとする。)

 

When the object damaged by flood belongs to the offender, the provision of the preceding paragraph shall apply only when the object is subject to attachment, encumbrance, lease or insurance.(浸害した物が自己の所有に係るときは、その物が差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は保険に付したものである場合に限り、前項の例による。)(刑法

endorse 保証する、承認する(事実であると認める)、裏書する、
endorser         裏書人、譲渡人(transferor)、身元保証人

The seller shall endorse or warrant the merchantability and/or fitness for use and/or safety of the Products.(売主は、製品の商品性および/または使用のための適合性および/または安全性を事実であると認め、または保証する)

(iii) In cases of the spouse of a Japanese national, a letter of endorsement by the Japanese national residing in Japan; in cases of the specially adopted child or child of a Japanese national, a letter of endorsement by the Japanese national residing in Japan or other endorser residing in Japan.(三 日本人の配偶者である場合には、本邦に居住する当該日本人の身元保証書、日本人の特別養子又は子である場合には、本邦に居住する当該日本人又はその他本邦に居住する身元保証人の身元保証書)(出入国管理及び難民認定法施行規則 別表

enforce        実施する、施行する、強いる、強要する、強める、強調する、強く主張する

Each party has the right to enforce this Agreement against the other party by temporary restraining order, injunction, or other equitable relief, without proving actual damages.(各当事者は、実際の損害賠償を証明することなく、保全命令、差し止め、またはその他の衡平法上の救済により、相手方に対して本契約を執行する(契約を行わせる)権利を有する。)なを、enforceは、「(人に)に~させる」の意味よりも、以下のように「施行する」、「実施する」の意味で使用される場合が多く見受けられます。

The prefecture concerned shall pay the necessary expenses for the Prefectural Governor to enforce this Act. (都道府県知事がこの法律を施行するために必要とする経費は、当該都道府県の負担とする。) (建設業法)

No person other than a party to this Agreement shall have any rights to enforce any term of this Agreement. (本契約の当事者以外の者は、本契約の条件を実施するためのいかなる権利も有しない。)

いずれも英文契約書になくてはならない単語と使い方のいくつかの例をとりあげてみました。

 

参考図書

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

研究社新英和辞典(研究社)他

法律英単語(自由国民社)

日本法令外国語訳データベースシステム

英文契約書にある「Credit」例文集(その1)

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これまでも何回か取り上げた「Credit」についてです。タイトルは、「英文契約書にある「Credit」例文集(その1)」としてありますが、「Credit」の多様な使い方をという観点から英文契約書にかぎらず、様々な分野で遭遇した「Credit」の用法を参考に例文を作成してみます。「Credit」のいろいろな使い方を作成した例文を通して見てゆきます。

1.「Credit」の用例

Unrecognized net transition asset is credited to expense over 10 years on a straight-line basis. (未認識純資産は、10年間に渡り定額法で費用として戻されます。)

Some roads have improved greatly over the past 10 years, credited in part to the government infrastructure projects.(政府のインフラ整備プロジェクトのおかげもあり、一部の国々の道路はこの15年間でかなり整備されてきた。)

Thomas Edison is credited with the invention of light bulb. (トーマスエジソンは、電球の発明で知られています。)

The securities account of an investor in one clearing system may be credited during the settlement processing day immediately following the settlement date of the other clearing system.(一方の決済機関の投資家の証券口座は、もう一方の決済機関の決済日の直後の決済処理日に預けられる場合があります。)

the cash account will be credited for value on the settlement date.(現金口座には対価が決済日に入金される(払い込まれる)。)

Refund due on tickets paid for with a credit card can only be credited to the credit card account used for the original purchase. (クレジットカードで支払われたチケットに対して支払うべき払い戻しは、最初の支払いで使用したクレジットカードの口座に対してのみ入金できます。)

When interest rates rise, high interest rates are credited to interest rate-sensitive products. (金利が上昇すると、高金利が予定利率変動型商品に付与されます。)

If the mileage is not credited to your account within 3 weeks after your travel, xxx(旅行後3週間以内にマイレージが口座に入金されない場合は、…)

It is credited in income statement. (損益計算書に収益として計上

It is cash flows debited or credited to an account. (口座に入出金されるキャッシュフロー)

Consumption taxes paid are not fully credited against consumption taxes received. (支払われた消費税が受け取った消費税に対して完全に計上されていない。)

2. 貸方・借方についての疑問

ところで「以前にも触れましたが、辞書を見ると「Credit」の持つ意味の1つに「ある金額を〕〈人の〉貸し方に記入する」=「credit a sum to a person’s account」とあります。貸方=Creditで借方=Debitです。

そこで「借方」と「貸方」という言葉が何故そう呼ばれるのか調べてみました。

なぜなら、「借方」と「貸方」という漢字の意味だけから見るとややこしいことになっています。例えば、貸借対照表では、自分が貸しているお金(貸付金)」なのに貸借対照表の左側の「借方」に書かれており、反対に「自分が借りているお金(借入金)」は貸借対照表の右側の「貸方」に書かれていることです。

以下は、ウィキペディアからの抜粋です。

「日本に初期の複式簿記と中央銀行システムを輸入したのは福沢諭吉で、「debit」「credit」をそれぞれ「借方」「貸方」と翻訳したのは彼である。初期の財務諸表や複式簿記は債権・債務を記載する目的が主であり、主に銀行の経理で使用されていた。それを相手方から見た視点で記録していたため、貸方には相手方が貸した分を記載しているという意味があった。時代が下り、簿記技術が発展し、記録する内容が金銭の貸借関係から拡大していくにつれ、単なる「右側」という意味のみの符号と化した。」ということで、今は、単に、「左側」、「右側」の符号になっているようです。

複式簿記が生まれた中世イタリアでは、帳簿の左側に「自分からお金を借りている人の情報」を、右側に「自分にお金を貸してくれている人の情報」を書いたからといわれています(諸説あるようですが)。

借方 Debit 貸方 Credit
貸付金

自分は貸している-相手は借りている。

借りている側から見みた状態(借りている)を記載

借入金

自分は借りている-相手は貸している

貸している側から見た状態(貸している)を記載

以前にも書きましたが、例えばAがBに商品を販売し、その代金を後払いにした場合、Aは、Bに対する売掛金(債権)を有し、BはAに対する買掛金の支払い義務(債務)を負っています。この状況は、この売買代金は、A(債権者)の立場では、「my credit to B」、一方、B(債務者)の立場では、「my credit from A」とすることができます。https://www.ings-web.co.jp/archives/736 「Credit」は双方向で使用されています。

いずれにしても「Credit」は、奥の深い言葉です。

参考図書

ウキペディア:「借方」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2020年11月26日 (木) 16:55 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/借方

新英和大辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

英文会計入門(日経文庫)他

英文契約書の会計用語 (その1)

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英文契約書には、会計(Accounting)に関する用語が記載されていることがあります。それ自体が専門分野である会計に関する用語は、当然のことながらその数は非常に多く、多岐にわたります。それら中でも、英文契約書会社定款等で最近みかけた用語のごく一部を取り上げてみました。日本語の訳語については、翻訳に際して一般に良く使われる訳語を参照しましたが、ここに記載した以外のものもあります。また、同様に英文に関しても同じ用語でも別の表現が使われる言葉もあります。用語の使用例として参考に一部の用語に例文を作成しました。なを、用語それに自体の意味等については、英文会計に関する専門書等を参照してください。

 

Accountant 会計士、経理担当者
Independent Accountant(独立会計士)Public accountant(公認会計士)Professional accountant(専門会計士、 職業会計士)

これら3つはいずれも会計事務所の会計士。

Private accountant(専属会計士、私的会計士:いずれも企業内に所属する会計士)

Accounting entity 会計主体
Accounting information 会計情報
Accounting firm 会計事務所、監査法人:auditing boards、audit corporation、auditing corporation
Account Name 口座名
Accounting process 会計作業、会計処理
Accounting report 会計報告書
Accounting standards 会計基準
Accounting systems 会計システム
Annual report 年次報告書
Asset 資産 cf. 負債:Liabilities、debt
Audit cost 監査費用
Audit report 監査報告書
Auditing 監査
Auditor 監査人    Independent auditors (独立監査人)

Operating Entity shall bear all of audit costs relating to the audit conducted by the accounting firm designated by a fair and impartial third-party committee. (運営主体は、公正かつ公平な第三者委員会により指定された会計事務所が実施する監査に関連する監査費用を負担する)

Audit shall be conducted in accordance with the audit plan.(監査は、監査計画に従い行われる)

 

Bank account 銀行口座
Bookkeeping 簿記
Book value 帳簿価格
Buy or make 内外製選択:Internal processing(社内加工)かOutside

processing (外注加工)かの選択

Bookkeeping 簿記
Budgeting 予算編成,予算管理
Certified public accountants   (CPA: 公認会計士) Certified public accountants   (CPA: 公認会計士)
Claim of creditor 債権者の請求権
Cost accounting 原価計算
Credit grantor 信用貸付人
Credit limit 貸付限度額
Credit rating 信用評価
Chart of accounts 勘定科目 Chart of accounts(勘定科目表)
Consolidated entity 連結主体
Cost analysis 原価分析
Cost center 原価部門
Double-entry 複式簿記:bookkeeping by double entry、bookkeeping

Payments shall be made by electronic cash transfer to the Seller’s bank account free from any charges except normal bank wiring charges. (支払いは、通常の銀行電信振込み手数料を除き、いかなる料金もなしに売主の銀行口座に、現金電信振り替えで行なわれる)

 

Earning capacity 収益力
External reporting 外部報告会計
Financial accounting 財務会計
Financial interest 金銭的利害
Financial information 財務情報
Financial planning 財務計画
Financial budget 財務予算

This financial budget signifies our long-term commitment to the development of this market for the next decade. (この財務予算は、今後10年間のこの市場の発展に対する私たちの長期的な取り組みを表します。)

General accounting  一般会計
Generally accepted accounting principles GAAP:, ―般に認められた会計原則

The consolidated balance sheets and the related consolidated statements of operations,  and cash flows present fairly shall be in accordance with the generally accepted accounting principles in the United States of America.(連結貸借対照表および関連する連結損益計算書、およびキャッシュフローは、アメリカ合衆国で一般に認められている会計原則に従って作成される)

 

Internal auditing 内部監査
Internal auditor 内部監査人
Internal reporting 内部報告会計
Interpreting financial information 財務情報の解釈
Inventory turnovers 在庫回転数
Income tax returns 所得税申告(書)

 

 

Legal entity 法的主体、法人、事業者
Liquidity 流動性
Liabilities 負債
Internal auditing 内部監査
Managerial accounting 管理者会計
Management accounting 管理会計
Operating results 経営成績、営業成績
Operating entity 運営主体
Open account 口座決済残高

 

The operating results for any quarter should not be considered indicative of results for any future period.(任意の四半期の営業成績は、将来における結果を示すものではありません。)

 

Payback period 資金回収期間
Payables 債務
Partnership パートナーシップ
Private industry 私企業
Professional service 専門サービス
Production process 生産過程

 

Nothing in this Agreement shall be deemed to create a partnership, joint venture or other relationship other than a seller – customer relationship.(本契約のいかなる規定も、パートナーシップ、ジョイント・ベンチャー、または、売主と顧客の関係以外のその他の関係を構築することはない。)

 

Product cost 製品原価
Profitability 収益性
Profit planning 利益計画
Promissory note 約束手形
Product cost 製品原価
Profitability 収益性
Proprietor 企業主
Publicly-owned company 公開会社
Revenue 収益
Receivables 債権 cf.  Payables(債務)
Single proprietorship 個人企業:proprietorship; private industry; private enterprise
Solvency 支払能力
Tax accounting 税務会計
Tax avoidance 合法的な租税回避、納税回避、節税、cf.  tax evasion(脱税)
Taxable income 課税所得
Tax returns 税務申告書
Tax services 税務
Title of accounts 勘定科目:account、account name、account title、account headings
Trade notes receivable 受取手形 cf. Trade notes payable(支払手形)

The Contractor shall file all Tax Returns to be required to file in timely manner.

請負業者は、適時に提出する必要があるすべての納税申告書を提出するものとします。

 

The company whose sole business purposes is the tax avoidance shall be prohibited by Acts and orders issued thereunder in this Country. (租税回避を唯一の事業目的とする会社は、この国で発行された法律および法律に基づく命令によって禁止されている)

会計用語は、英文契約書にかかわる場合に避けて通れない分野です。冒頭でふれたように専門分野である会計に関する用語は極めて多く、その中での知っておくと便利な用語を少しずつ取り上げてゆきます(不定期ですが)。財務諸表(Financial statements)の勘定科目については触れませんが、とりあえず、Receivable(受け取る)が付いた科目は債権で、Payable(支払う)がついた科目は債務とお覚えておくと良いかもしれません。

例:Account receivable(売掛金)、Account payable(買掛金)。

 

 

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典

法律英単語 自由国民社

英文会計実務 日本経済新聞出版社

英文会計入門 日経文庫

英文財務諸表の知識 日経文庫