英文契約書の用語(単語編)cl- co (No.11)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとします。

注意すべき言葉には、今回は、特に「commit/commitment」について、英文契約書でどのような使われ方をしているか、簡単な文例を作成してみました。前回の「claim」の続きからです。

claim in species

種類債権

claim payable to obligee or holder

記名式所持人払債権

claim payable to order

指図債権

claim prohibited to be attached

差押禁止債権

claim secured

被担保債権

claim whose value is uncertain

価額の不確定な債権

claimant

請求人

requester(請求人)claimee、demandee(被請求人)

class

商品売買における品等、株式の種類

class action

集団訴訟

class voting

種類別議決

clause

条項

clean

瑕疵のない、担保のない

clean L/C(無担保信用状、 普通信用状、 荷落し信用状、 クリーン信用状)

clean hands doctrine

クリーンハンズの原則(当事者が、エクイティ(衡平法)上の原則に違反した場合は、その当事者はエクイティ上の救済を求め、または、エクイティ上の抗弁を主張することができないという原則)

clear and conyincing proof

明白かつ確信を抱くに足る

clear title

無瑕疵権原

clearance

通関手続き

custom clearance(通関手続き)

A Company shall be responsible for any custom clearance of the Products.

「A社は、製品に通関手続きの責任を負う。」

clearing house

手形交換所

clearinghouse

client

顧客、(弁護士などの)依頼者、クライアント

close corporation

非公開会社、非公開会社

closed corporation

closed shop

クローズド・ショップ:労働組合員だけ雇う事業所; ⇔open shop

closed trial

非公開裁判

closing

クロージング、終結、(手続きの)完了

closing argument

最終弁論

cloud on title

瑕疵のある権原

CO tenancy

共有、共同所有

CO-conspirator

共謀共同正犯

CO-creditor

共同権利者

code

法典

Civil Code(民法)、Penal Code(刑法)

Code of Canon Law (教会法典)

Code of Cavil Procedure

民事訴訟法

Code of Criminal Procedure (刑事訴訟法)

code of conduct

行動準則、取引慣行準則

code of ethics

倫理綱領、倫理コード

CO-debtor

共同義務者

CO-defendant

共同の事業、共同被告人

coercion

強要罪

cognizance

認諾

collaborate in a criminal act

犯罪行為に加担する

collateral

担保物件、従たる(形容詞)

collateral estoppel

付随的禁反言の原則

collateral relatives

傍系親族

ちなみに傍系親族は、「collateral relatives by blood」

collateral security

付随担保

collect of claim

債権取り立て

collect on delivery

代金引換引渡し

collect supporting evidence

傍証を固める

collection

金銭の取立て

collection of rules

諸規範の集合体

collective bargaining

団体交渉

collective bargaining agreements

労働協約、団体協約

collective opinion

総意

collegiate court system

合議制

collision

衝突、抵触

collusion

通謀、馴れ合い

color of title

表見上の権原

CO-maker

連帯保証人、共同振出人

combination

企業の結合、特許における技術の組合せ

come under the hammer

競売にかけられる

comfort letter

コンフォート・レター; 念書、公認会計士の意見書

commencement of execution

執行の着手

commencement of guardianship

後見開始

commencement of hearing

審判開始

commencement of succession

相続開始

相続、継承権、継承、

commercial agent

代理商

commercial custom

商慣習

commercial customary law

商慣習法

commercial invoice

商用インボイス、送り状、 商業送り状

commercial matter

商事

commercial paper

商業手形、コマーシャルペーパー(CP)、商業証券

commercial partnership

合名会社

commercial practice

商慣習

commercial property

事業用財産、事業用不動産

commercial register 商業登記簿
commercial registration 商業登記
commercial transaction 商行為
commercial usage 商慣習
commission 手数料、コミッション、仲介料、利ざや、委員会、任命
commission merchant 問屋、代理商
commissioned judge 受託裁判官、受命裁判官
commissioner 裁判官、理事、長官、局長、弁務官、コミッショナー
commit / commitment

commitは動詞、commitmentは、名詞

1. 「commit」も「commitment」について

「commit」も「commitment」最近は、日本語としても使われることがあるようです。契約書でも良く目にする単語です。ただし、いろいろな場面で使われるので、多分、ネイティブ以外の者には、意味としは、漠然とした感じがあるかもしれません。

そこで「commit/commitment」について簡単に確認してみます。

辞書をみると、commitmentは、「委託、委任、約束、責任」等とあります。commitは、「〈もの・人を〉〔処置・記録・記憶などに〕ゆだねる、付する、〈…すると〉約束する、収容する」等とあります。

2. いろいろな使い方

これらから派生して、いろいろな状況で、様々に使われています。

以上にように「commit/commitment」には、様々な用法がありますが、今回、契約書では、経験上、良く目にする用法の内から2つの例にしぼって、例文を考えてみました。

 Either Party may terminate this Agreement immediately if the other Party commits a material breach of this Agreement.

「相手方が本契約の重大な違反を行った場合、いずれの当事者も、本契約を直ちに解除することができる。」(実際には、breach of this Agreementの後にさらに解除条件が付されます。)辞書を見ても、「commit a crime:(罪・過失)を犯す、行う」等と記載されています。

 The Company commits to carry out the provisions stated in this Agreement.

「会社は、本契約に記載された条項を履行することを約束(確約)する。」

  Party XXX commits to pay the management fees by the due date.

「XXXは、管理費を支払期日までに支払うことを約束(確約)する。」

 これらの場合の「commit」は、単に約束するのではなく「責任を持った約束」「その約束を必ず守るという確約」を意味します。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English他

英文契約書の用語(単語編)br-cl (No.10)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとしました。

注意すべき用語には、文例を作成してみました。中でも今回は、特に、「claim」について見てみました。

brief

準備書面、要約、裁判官の意見の摘要書

bring

bring a suit、 bring an action (訴訴する、訴えを起こす、訴えを提起する)bring to court(裁判所に引致する)、bring to prison(収監する)

broker

仲介業者、周旋人、仲立人、仲買人、ブローカー

brokerage

仲買、仲立、仲立営業、受託契約(brokerage contract)

budget

予算

bulk sales

包括譲渡

burden

責任、義務

burden of production(証拠提出責任)、burden of proof (立証責任)

 以下に、簡単な例文を作ってみました。

 The parties hereto shall bear the burden of proof based on this Article「本契約の当事者は、本契約に基づく本条に基づく立証責任を負う。」

The Buyer itself shall bear the full burden「買主は、自らすべての責任を負う。」

business

business day(営業日)、business hours (営業時間)、(取引日間)、business name(商号)、business term(事業年度)事業年度と同じ意味でfiscal year (会計年度)があります。business trust (事業信託)

buying and selling

売買

bylaw(by-law)

附属定款、内規、地方公共団体の条例

bystander

第三者 「第三者」ですが、あまり見た経験はありません。「第三者」を意味する用語で代表的なのは、やはり「third party」かと思われます。

circular

通達、通牒

citation

引用

civil action

民事訴訟 そのほかにも、civil litigation、civil suit、civil proceedings等があります。いずれも、英文契約書の中では、英文契約書では常連の用語です。

 以下に、簡単な例文を作ってみました。

He bring in a civil action to protect against retaliation in fraud cases「不正詐欺行為における報復を防止するための民事訴訟を起こす」

 ちなみに、刑事訴訟では、criminal suit、criminal action criminal proceedings等があります。

civil affairs

民事

civil case

民事事件

Civil Code

民法

civil law

大陸法、ローマ法、市民法、私法、民事法(一般にローマ法に由来する、欧州において支配的な法体系)

civil liability

民事責任

civil procedure

民事訴訟

civil war

内戦

civil rights

公民権、人権

civil servant

公務員

civil service

公務

civil wrongs

民事的違法行為

civilian

文民

claim

主張、債権、申し立て、訴え、特許請求の範囲

 (1) claimに関しては、いろいろな状況で、いろいろな意味に用いられます(例:民事、刑事、行政、規制、仲裁、捜査にかかわる要求、申し立て、訴訟行為、訴訟、調査もしくは訴訟手続き、またはその他の請求もしくは要求)。動詞としても使われます。

Even a matter that cannot be given an estimated monetary value may be the subject of a claim.「債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。」(民法

Buyer will indemnify and hold harmless Seller for any loss, liability, claim, damage, expense arising from or in connection with the following events: 「買主は、以下の事件に起因する、または、以下に係わる損失、責任、申し立て、損害、費用について、売主に補償し、損害を与えない」

 (2) 特許明細書の翻訳では、「特許請求の範囲」となりますが、契約書でも、特許がからむ内容がある場合、その部分では「特許請求の範囲」を意味する場合とともに、特許にかかわらない部分では要求、申し立て等、上記の「例」にあげた内容を意味する場合もあります。

 機会があれば、事例ごとに、具体例をまとめてみたいと思います。

claim amounts

債権額

claim bearing interests

利息付債権

claim for damages

損害賠償請求

claim for inquiry

審査申請

claim for relief

救済の申立、救済請求

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English
  • 日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書の用語(単語編)(No. 9)bl-br

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとしました。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとします。

注意する用語には簡単な文例を作成してみました。

blame

責任、落ち度

blank

白地,空欄

blank acceptance

手形の白地引受け

blank endorsement

白地裏書

board

会議

the boards (委員会、評議会、重役会)

board approval requirements (取締役会の決議要件・可決要件・承認要件)、board meeting(取締役会)board of directors(取締役会,理事会)

The affairs of the Corporation shall be conducted by the board of directors and the directors shall be elected by ballot at the annual meeting of the shareholders

(本会社の業務は取締役会により運営され、取締役は、年次株主総会における投票により選任される。)

bodily injury

傷害対人事故、人身事故

boilerplate

定型的文言,共通条項

bona fide

善意の、誠実

good faith と同じ意味。 bad faithの反対語

bona fide holder (善意有償所持人)

bona fide possession (善意占有)

The parties shall resolve all disputes through bona fide negotiations.(当事者は、すべての紛争を誠実な交渉を通じて解決する。)

bona fide purchase (B.F.P)

 

善意の買主

bona fide third person 善意の第三者

bond 社債,証書,債券,約束,身元引受人,保証人,保税倉庫,捺印金銭債務証書,留置bond holder (社債権者)bond with pre-emptive right (新株引受権付社債)
bonds

債券

bonus stock

無償株,景品株

book value

簿価

border

境界,国境

borrowed thing

借用物

borrower

借主

boundary

境界,境、国境、限界、限度

The Lessee shall construct the entranceway to the Land and the culvert thereunder running along the boundary of the Land with asphalt or concrete.

賃借人は、当該土地への入り口通路およびその下を通る暗渠を当該土地区画の境界沿いにアスファルトまたはコンクリート作るものとする。

boycott

ボイコット,集団取引拒否

branch

支部,支店

brand

商標

brand name 商標名・ブランド名

brand・owner商標権者

breach 違反、契約違反、約束違反、不履行、権利侵害等breach of contract/breach of agreement(契約違反)breach of rules (規則違反)

breach of trust (背任)

breach of warranty(保証義務違反)

類語:infraction、infringement、violation等

同じような意味を持ちますが、やや異なる状況で使われます。例:infringement of copyrights、violation of law, infraction of law. 今回、詳細は述べません。

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。

参考図書

英文契約書の用語(単語編)(No. 8)ba-bi

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとしました。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとします。

backup contract

代替契約

bad check

不渡小切手

bad debt

貸倒れ、不良債権

bad faith

不誠実、悪意

反対語は、good faith とbona fide。

bailed things

受寄物

bailee

受寄者

bailer

寄託者

bailment

寄託、保釈金

balance sheet

貸借対照表 B/Sなどとも表記されます。ちなみに損益計算書は、良く知られている表記のしかたはprofit-and-loss statement略してP/L。そのほかにもincome statement, statement of earnings等いろいろな表記のしかたがあります。

bankruptcy

倒産、破産、破産手続き

「bankruptcy」は、例えば、契約解除の対象となる事例を列記してある条項で良く目にします。

簡単な例文を作ってみました。

This Agreement shall automatically terminate if AAA files a petition in bankruptcy or is adjudicated a bankrupt.

(AAAが破産を申し立てたまたは破産を宣告された場合、契約は自動的に解除される)

bar

法廷、弁護士会、阻却事由、障害

bargain

取引、契約

barrister

英国の法廷弁護士

base rent

基本賃料、最低保証賃料

Battle of the Forms

書式の戦い

bearer

手形などの所持人

bearer instrument

持参人払式証券

behavior

挙動、行為・行状

belief

信仰、信条

bench

裁判官、裁判所、裁判官席

bench and bar

法曹

beneficial excuse

抗弁権

beneficiary

受益者、被相続人

benefit

便益、利益

benefit of time

期限の利益、Forfeiture of Benefit of Time (期限の利益の喪失)、Benefit of Time and Its Waiver 期限の利益及びその放棄。

「benefit of time」の意味については、Webでも詳しい説明を記載したサイトが多くあり、ここでは触れません。

The obligor may not assert the benefit of time if:

(以下の場合、債務者は、期限の利益を主張することができない。)

bequest

遺贈、遺産

bereaved family

遺族

betterment

増価

bid

入札

bid bond (入札保証)、bid rigging (入札談合)

bill

手形、請求書、議案、紙幣、法案

bill of exchange(為替手形)、

bill of lading=B/L(船荷証券)、bill of sale (売渡証書、売買証書)

binder

仮契約証

binding

拘束

binding force(拘束力)、binding-power of the adjudication (裁判の拘束力)

The arbitration award shall be final and binding upon the Parties

(仲裁の裁定は、最終的かつ当事者を拘束する。)

動詞は「bind」

Neither party has the authority to bind the other to any third party.(いずれの当事者も、第三者に対して相手方を拘束する権限を有しない。)

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。

参考図書:

英文契約書の用語(単語編)(No.7)au-aw

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。

今回は、auditauthorityawardといった単語を中心に例文をとりまぜてみて行きます。

audit

監査、審査、検査

契約書、法律、ビジネス文書では、「会計、会社、システム等にかかわる監査」の意味で使われることが多いようです。すぐに思い浮かべるのは、やはり「会計監査」です。

「会計監査」は、auditing、audit of the accounts、accounting audit等と記載されます。

監査を行うのは、「auditor」で監査人、監査役と称される職務です。

「auditor」の意見は、[audit (auditor’s) opinion]です。

委員会設置会社では、「Audit Committee」- 監査委員会が置かれます。

内部監査(Internal Audit)のほかに、外部の第三者による外部監査(External Audit)(例:一般には、公認会計士や監査法人による会計監査)もあります。

監査結果を記載したものが、[Audit Reports ]-監査報告書、「Accounting Audit Report」-会計監査報告書等です。

外部からの監査を受ける会社(被監査会社/監査を依頼した会社)は、例えば、「audited company」とか「audit client company」等と記載されることがあります。

契約によっては、相互に、または相手方になんらかの監査を行うものもあります。

The audit shall be conducted at Party A’s expense.(監査は、甲の費用により実施されるものとする。)

authentic

真正な

authenticated copy

正本

authentification

判例,権限,関係官庁

authority

権限、職権、許可、認可、権威。

「オーソリティ」として日本語でも使用されます。

様々な場面で使用され、また他の語とくみあわされて成句を作ります。例:「delegation of authority」-権限の委譲

authorization

委任、権限を与えること、認可、許可、許諾、承認

The committee shall obtain authorization of the local authorities.(委員会は、地方公共団体の許可を受けなければならない)

autonomy

自治,自主性

avoidance

無効,取消,回避

award

裁定,裁判所などの評決,裁定額、仲裁人の仲裁判断、賞、賞金等、さまざまな意味がありますが、英文契約書で用いる場合、多くは、最初の4つの意味で使われるようです。

文章の内容により訳語を確定します。

The arbitration award shall be final and binding upon the Parties (仲裁の裁定は、当事者に対し最終的なものであり、当事者を拘束する)

Monetary award for the advertisement of a business conducted in Japan, which is specified by a Cabinet Order.(国内において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの)-所得税法

ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。
「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English
  • 日本法令外国語訳データベースシステム他

英文契約書で使われる単語・熟語(番外編)「Interest」についてのあれこれ

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英文契約書の翻訳を行っていると、「Interest」という単語を目にすることが良くあります。この単語「Interest」は、その前後の文章・内容によって、訳語が変わってくるので厄介です。その理由の1つは、(私見ですが)その昔、誰かが、単語「Interest」がある文章の翻訳を最初行った時に、それぞれの分野ごとに「Interest」という単語に対する訳語を設けたからであると推察されます。

そのためか(?)、「Interest」という単語を日本語に訳す場合に、各分野で微妙に違う訳となっています。

そこで、この単語の意味をあらためて確認し、まとめてみることにしました。先ずは、英々辞典を参照してみます。

英々辞典The New Oxford Dictionary of Englishでは、「Interest」を以下の様に定義しています。

  1. Mass noun   The state of wanting to know or learn about something or someone.
    She looked about her with interest.
  2. Mass noun   money paid regularly at a particularly rate for the use of money lent, or for delaying the repayment of a debt.
    the monthly rate of interests.
  3. The advantage of benefit of a person or group.
    the merger is not contrary to the public interest

興味、関心、興味を起こさせるもの、関心事、趣味、興味をそそる力、面白さ、興趣、重要(性)、重大(性)

上記の意味だけでなく,利益、利害関係があり、利害関係が発生する状況では「利益,利子」などの意にも使用されています。

また、利子(郵貯)(銀行の場合は、利息)と言う意味がありますが、利子とは、貸借した金銭などに対して、ある一定利率で支払われる対価。貸し借りの言う利害関係から生じた得が利子、利息に転用されたようです。

どうも、単語「Interest」を翻訳する際に、ある特定の分野において、その分野の対応する日本語に置き換えた際に日本語の実情に合わせて色々な訳を当てはめた(始めに日本語ありきの)可能性があるかもしれません(これは、あくまでも私見です。学問的なエビデンスがあるわけではありません。なを、いつものことですが、「単語の意味、用法」については、辞書や専門書をご覧ください。)

「Interest」を訳す場合は、状況もしくは一緒に使われている単語でどの訳にするか(どの日本語を使うか)を決めましょう。

参考までに、いくつかの分野で例文を作成してみました。

The terms and conditions of the loan, loan period and interest rate, etc. will be determined after further discussions between A and B.

借入れ条件、その期間、利率等については、別途協議の上定めるものとします。

Positions of outside directors held at other companies are disclosed, but those at publicinterest corporations are not.

社外取締役の兼任状況は開示されても、公益法人との兼任は開示されていない。

In order to avoid interestrate fluctuation risk associated with some of the securities, loans payable and bonds, this Company applies hedge accounting using various derivatives instruments such as interestrate swaps and currency swaps.

当社は、一部の有価証券、借入金及び発行社債等に関連する金利変動リスクを回避するため、金利スワップ及び通貨スワップ等のデリバティブ取引を用いてヘッジを行っています。

Long-term borrowings at floating rates are subject to special treatment as interest rate swaps, with the related interest swap, and the value is calculated as the present value,

金利スワップと共に、変動金利による長期借入金は金利スワップの特例処理の対象とされており、また、その数値は現在の数値として算定されます。

Some natural sample types vary a lot, both in origin and composition, leading to highly on-linear relationships between the parameter of interest and the spectra.

一部の天然のサンプルのタイプは由来や成分により大きなばらつきがあるため、対象パラメータとスペクトルが非線形な関係を導く可能性が高くなります。

We would like to provide you with products and services we think may be of interest to customers.

私たちは、お客様にご興味をお持ちいただけるような商品及びサービスを提供してまいります。

A survey will be taken to determine their current interest in the committee’s activities and opinion regarding merger.

委員会の活動への現在の利害と合併に関する意見についての調査を行います。

英文契約書の用語(単語編)(No.6)ar-au

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事で使用されるものとしました。

article

「条項、条款、年季契約、物品、物件、品物、品目」等、さまざまな意味で使われます。

例:Article 1 (第1条)。「物品」という有体物の意味でも多く使われます。なお、有体物でも不動産などは「Property」を使うようです。

*「articles of association」、「articles of incorporation」、 「articles of organization」、 「certificate of incorporation」等として会社の「定款」を表します。

 *英文契約書の用語(単語編)(No.5) ar – ar 参照

artificial person

「法人」法人を表すものとしては、このほかに「Juridical Person」、「corporation body」、「corporation」等があります。cf. 「natural person」自然人

as is

「現状のまま」、「現状あり姿」、「現品で」、

「on an as is basis」等として、例えば、売買契約等で、売買の対象物を、契約時に存在しているそのままの状態で販売先に引き渡す場合に使用します。

The Article is provided on an as is basis.

as promptly as possible

「できる限り速やかに」、「可及的に速やかに」、同様な意味を表す熟語として、「as soon as practicable」、「as quickly as possible」、「as expeditiously as practicable」等があります。

assertion

主張

assess

税金などを課する

assessed valuation

課税標準額,固定資産税評価額

assessment

査定,評価,査定額評価

asset

資産、財産、通常は、「assets」assets and liabilities(資産と負債)

assign

「譲渡する」、「選任する」、「割り当てる」、「指定する」等。「譲渡する」の意味では、「Transfer」を使用することもあります。いずれも動詞ですが、名詞として「譲受人」の意味で使われます。なを、「譲受人」は、その他下記参照。

一例として、以下に作成した例文のように使われます。

Neither Party shall have the right to assign its rights and obligations under this Agreement without the prior written consent of the other Party.(いずれの「当事者」も、相手方の事前の書面による承諾なしに、本契約に基づくその権利と義務を譲渡する権利を有しない。)

assignee

「譲受人」、「被譲渡人」「(破産)管財人」、「代理人」なを、「譲渡人」は、assignorまたはtransferor

assignment

「(財産、権利等の)譲渡」assignment of claim(債権譲渡)、assignment of property rights (物権の譲渡)
「譲渡証書」、「契約譲渡制限」、「任命」、「任務」

assignor

「譲渡人」cf. transferor

assistance

ほう助、支援、援助

assistant

補助人 assistant officer(事務官)

association

社団、団体

assumption of mortgage

抵当権の引受け

assumption of the obligation

債務の引き受け

assurance

保証、保険,土地譲渡証書

assure

保証する、請合う

assured

被保険者

attachment

附属物、民事の差押え、別紙、付属文書

attest

証言する,立証する、証明する、副署する

attestation

証拠、証明書、認証

attorney

弁護士、代理人、attorney in fact(代理人)、attorney client privilege(弁護士・依頼者間の秘匿特権)

auction

競売、オークション

 audit 監査

その他「at」で始まる単語の熟語として、「at bar」、「at law」などがあります。今回、説明は、省きます。刑事、保険・証券・金融等で使用される単語、あまり目にすることがない単語等も、省いてあります。

参考図書

英文契約書のブログについてのあれこれ

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ブログを開始したのは、2014年 4月1日からです。それから3年が経過しました。スタッフ一同よく続いたものだと思います。主に、英文契約書の用語、構文について、その時々で思いつくままに書いてきました。積極的にどなたかに読んでいただくことを意図したわけではありませんが、多くの方たちが立ち寄られたようです。ふと思い立ち、どのような記事が読まれているのかを確認してみました。以下がトップ3です。

1番読まれたもの。

英文契約書の用語、構文「thereof, thereafter, therein, thereto等」(その3

英文契約書(法律文書)特有の用語・言い回しである「リーガルジャーゴン」の中から、「thereof」、「thereafter」、「therein」、「thereto」、「thereby」について簡単に述べてみました。

 2番目に読まれたもの。

英文契約書の用語、構文 (その22)(別紙/付属文書について)

英文契約書の別紙/付属文書の名称として使用される「Addendum」、「Annex」、「Appendix」、「Attachment」、「Exhibit」、「Rider」、「Schedule」等について書いてみました。

 3番目に読まれたもの。

英文契約書の用語、構文(その11)

will」、「shall」、「may」、「agree to」、「acknowledge that」などについてです。

 ちなみに4番目は、英文契約書の用語、構文(その14) 「条、項について」です。

「1番読まれたもの」であるthereof, thereafter, therein, thereto等については、なるほどとうなずける部分があります。

しかしながら、「2番目」以降は、以外な感じがしました。特に、「2番目」と「4番目」に読まれたものについては、読まれた方が、ご自分で英文契約書を作成する際の参考にされたのではないかなどと(役にたったかどうかはわかりませんが)、勝手に想像しています。

英文契約書の用語(単語編)(No.5) ar – ar

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。

今回は、「articles of association」、「articles of incorporation」、 「articles of organization」、 「certificate of incorporation」とこれらに関連する単語です。基本的に、いずれも会社の「定款」を表します。

1. 定款について

代表的なのは、「articles of association」、「articles of incorporation」かと思われます。これらは、それぞれ「AOA」、「AOI」と略されることもあります。また、「articles」のみで「定款」として使われることもあります。

2.定款の訳語

定款の訳語に関しては、例えば、「articles of association」を通常定款(英)、設立定款(米)、「certificate of incorporation」を規約とする場合などもあります(このほかにもいろいろな訳語あります。)。なを、「英文契約書」に、これらの用語が記載されていることを見た経験は、あまりないように記憶します(定款そのものの翻訳は行っています。)。

これらの用語のそれぞれの違い-どこで、どのように使われているのか。ということについてということに興味があるのではないでしょうか。国、地域、組織によって違いが出るようです。(当然、この点について解説した資料、本、ウェッブサイトが多々あります)。当初、これについて書く意図はありませんでしたが、たまたま英語版の「ウキペディア」に、これらの用語についての以下のような記事が見つかりました。基本的な部分は、おさえてあるようで、これらの用語のそれぞれの違いを、ざっくりと見てゆくには、良いかと思われます。

3. 「ウキペディア」から

「ウキペディア」は、所定の引用方法に従って引用可能であるとのことで、「articles of association」、「articles of incorporation」および「articles of organization」の3つについて、関連する内容の一部を引用しました(ただし、いずれも米国で書かれた記事のようです)。「certificate of incorporation」は省略しました。

articles of associationについて

「a company’s articles of association (AoA, called articles of incorporation in some jurisdictions) is a document which, along with the memorandum of association (in cases where the memorandum exists) form the company’s constitution, defines the responsibilities of the directors, the kind of business to be undertaken, and the means by which the shareholders exert control over the board of directors.」

出典:Articles of Association (30 January 2017, at 21:04 UTC). In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Articles_of_association

articles of incorporationについて

「Articles of incorporation, also referred to as the certificate of incorporation or the corporate charter, act as a charter to establish the existence of a corporation in the United States and Canada, and are filed with the Secretary of State, or other company registrar.」

出典:Articles of Incorporation (18 April 2017, at 04:57 UTC). In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Articles_of_incorporation

articles of organizationについて

「The articles of organization are a document similar to the articles of incorporation, outlining the initial statements required to form a limited liability company (LLC) in many U.S. states. Some states refer to articles of organization as a certificate of organization」

出典:Articles of Organization (18 April 2017, at 04:57 UTC). In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Articles_of_organization

冒頭にも書きましたが、「articles of association」、「articles of incorporation」、 「articles of organization」、 「certificate of incorporation」は、いずれも、とりあえず、「定款」と覚えておけば良いかと思われます。

定款」にかかわる用語の一つである「by laws」は、通常、「付属定款」と訳されます。なお、「articles of incorporation」と「by laws」については、機会があれば見てみたいとおもいます。

なを、「定款」に加え、「株主総会議事録」、「取締役会議事録」の翻訳も行っております。

参考図書