英文契約書の用語(単語編)de-de(No.19)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。。今回は、「defect」について簡単に触れてみました。

「defect」は、「瑕疵」、「欠陥」という意味で英文契約書でもいろいろな場面で使われます。欠陥=瑕疵といっても、多様な側面があります。

「defect」の使われ方については、英文契約書の用語、構文(その17)でも、「free from….」と関連して以下の例文を取り上げたことがあります。

「The Products to be delivered hereunder shall be free from defects and faulty materials, correspond with any sample and conform to any description, instructions, specifications and other conditions agreed between the parties.」(本契約に基づき引き渡される製品は、瑕疵がなく、材料にも瑕疵がなく、サンプルと一致し、説明書、指示書、仕様書および両当事者間で合意したその他の条件に準拠する。)(抄訳)

今回、以下のような定型的な感じの例文を作成しみました。

「Seller warrants to Buyer that the Product shall materially conform to the description in Seller’s Specifications and shall be free from defects in material and workmanship.」

(売主は、製品が売主の仕様書にある説明と実質的に同じものであり、および材料と仕上がりに関するいかなる瑕疵もないことを買主に保証する。)

なを、「瑕疵がない」、「欠陥がない」の表現では、「free from….」のほかに、例えば、「XYZ shall not be responsible for the suitability of defect-free performance for xxx.」(XYZは、xxxの瑕疵のない性能の適合性について責任を負わない。)のように「defect-free…」のような表現もあります。

「defect」と関連する概念の1つとして、例えば「保証」と「救済」があります。この分野を論じると相当深い内容になってしまい、ブログという範疇では収まりません。ここでは、「defect」に関連して、「保証」と「救済」について良く使われる文章のごく簡単な例を作成してみました。(契約書に規定されない保証の排除が目的:売主が限定的な保証を提供し、黙示的保証を排除する。)

「XXX expressly disclaims any implied warranties, including implied warranties of merchantability or fitness for a particular purpose.」(XXXは、商品適格性または特定目的に対する適合性に関する黙示的保証を含む、いかなる黙示的保証も明示的に放棄する。)

契約書により、文章の構成や内容に違いはありますが、ほとんど同じような内容が書かれています。内容ほぼ同じです。

参考:Uniform Commercial Code(U.C.C. 2-312から2-317)

その他の参考図書:
法律用語辞典 有斐閣
英和中辞典 研究社
 コンパク六法 岩波書店
Oxford Dictionary of English 他
英文契約書の用語・単語

英文契約書の用語(単語編)de-de(No.18)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。。今回は、「default」について簡単に触れてみました。

deductible 免責額
deduction 控除
deed 証書、譲渡証書、捺印証書、行為の文語的表現 deed of release(権利放棄証書)、
defalcate 横領する、着服する
defalcation 公金横領、着服
defamation 名誉毀損、口頭・文書による中傷
defamatory 名誉毀損の
default 債務不履行、義務の不履行、契約不履行

default clause(デフォルト条項)

default interest(遅滞利息)

default judgment(欠席判決、欠席裁判)

1. defaultとは

この言葉は、すでに日本語として定着しているようです。元々は「何もしないこと、あるいは成すべきことが成されないこと」を意味するようですが、分野により、用いられ方に相違があります。

2. 用例による違い

例えば、 金融の分野で 「The condition of failing to meet an obligation.」であれば、義務を果たさないという条件を意味し、コンピュータなどの分野では、 「The original software programming settings as set by the factory.」工場設定(出荷設定)がされていますの意味で使用されています。

3. 英文契約書での用例

英文契約書でも、主に「債務不履行、義務の不履行、不履行」の意味でかなりの頻度で目にします。

契約書で、実際にどのように使われているか、例文を作成してみました。

A Corporation shall reimburse B Company for all losses, costs, damages and expenses incurred by B Company as a result of default of A Corporation.

「A社は、A社の不履行の結果としてB社が被ったすべての損失、費用、損害および費用についてB社に弁済する」

The waiver by X Corporation of any default by Y Corporation shall not waive subsequent defaults by Y Corporation of the same or different kind.

「Y社の不履行に対するX社による権利放棄は、Y社によるその後の同様なまたは異なる種類の不履行を放棄するものではない。」まわりくどい表現ですが、良く使われます。(意味は考えてみてください。「default」を使用した良く使われる表現の1つです)

ちなみに、コンピュータなどの分野では、良く知られているように、「default setting」(デフォルト設定、初期設定)、「default value」(デフォルト値、初期値)などと使用されます。

「default」は、重要な位置を占める単語の1つです。上記の他にもさまざまな使い方あります。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English他
英文契約書の用語

英文契約書の用語(単語編)cu-de(No.17)

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英文契約書翻訳に携わる中で経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。


前回、「credit」について触れました。今回、「credit」と対になる「debit」について簡単に見てみます。

de facto (=from the fact)事実上の

de facto contract(事実上の契約)

de facto corporation(事実上の会社)

de facto dissolution (事実上の解散)

dead loan 貸倒れ、こげつき融資、無期限貸付金
deadline 期限、締切り

cf term:期限、期日、任期、勘定日

dealer 販売店、販売業者、ディーラー
deal
dealings
取引
debenture 社債、無担保債権
debit/debt

 

借方、債務、借金

cf credit:(貸方、債権)

1. debitとcreditについて

debitとcreditについては、以前にもブログ「英文契約書の用語、構文(その13

「CreditとLoan」」の中で書いたことがあります。これらの用語は、日本語としても使用されています。ただし、なじみのある言葉にしては、英文中に記載された場合、意味として分かりにくいことがあるようです。あらためて簡単に見てみます。

例えば、「売買契約」で、AがBに商品を販売する場合、その売買代金を、Bは、Aに対して、Bが商品を受領して後、10日後に支払うことを約したとします。

実際にAからBに商品が引き渡された時点で、Aは、Bに対する売掛金(債権)を有し、BはAに対する買掛金の支払い義務(債務)を負っています。

この状況-A(債権者)とB(債務者)双方の立場-を表すのに「Credit」が使われることがあります。

この売買代金は、A(債権者)の立場では、「my credit to B」、B(債務者)の立場では、「my credit from A」となります。

debtee/creditor(債権者)debtor/obligor(債務者)

その他債務は、obligation、liabilities等が使われます。また、債権は、claim等が使われます。詳しくは、辞書や専門書をご参照ください。

2. 実際の用例

実際の英文契約書ビジネス文書では、上記のように親切に記載されていることは、まず期待できません。契約書の内容、当事者間の関係、前後の文脈から判断します。

なを、英文契約書やビジネス文書のドラフティングを行う場合、慣れないうちは、creditとdebitの使用は、避けたほうが良いかもしれません。

deceit

 

詐欺

fraud、swindle

decision 決定、判決

decision of dismissal of prosecution(公訴棄却の決定)、decision to reopen of the proceedings(再審開始決定)、decision as to the principal matter(本案の裁判)

declarant 表意者
declaration 宣言、申告

declaration of invalidity(無効宣言)

declaration of provisional execution (仮執行の宣言)

declaratory judgment (宣言的判決)

declaration of intention 意思表示(manifestation of intention)
declare 宣言する、言明する、自分の立場を表明する、意思表示する、申述する
declare orally 口授する
decree 判決、布告

主に「credit」と対になる「debit」について簡単に見てきました。「credit」は、「クレジット」として日本語として使われているためか、単語「credit」が本来持つ多様な意味を理解しないまま、「credit」=「クレジット」(日本語として使われているもの)に単純に置き換えてしまうと、文脈上の本来に意味を見失うこともあり、注すべき単語です。

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Trend (小学館)
  • Oxford Dictionary of English他
英文契約書の用語

英文契約書の用語(単語編)co-cu(No.16)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。今回は、「credit」、「damage」等について簡単な例文を作成してみました。なを、また、ここに掲載していない単語・用語も数多くあります。

corresponding amount 対等額
corresponding day 応当日
corroborative evidence 補強証拠、傍証
corrupt public morals 風俗を乱す
corruption 腐敗、汚職
cosigner 共同署名者
cost 費用

cost of an action(訴訟費用)、
cost of the trial(訴訟費用)

CO・successor 共同相続人
CO・successor who received gift 特別受益者
counsel 弁護士、法律顧問
counsellor 弁護士、参事官
count 数える、あてにする、訴因
counter offer 反対申込み、カウンターオファー
counterargument 反論
counterclaim 反対請求、反訴
counterevidence 反証
counterfeit 偽造品、模造晶
counterfeit money にせ金
counterfeit of a currency 通貨偽造
countermeasure 対策、対案
counterpart 副本
counter-performance 反対給付
country governed by law 法治国家
court 裁判所
court appointed 国選弁護人
court of appeals 米国の上訴裁判所、英国の控訴裁判所
court of equity エクイティ裁判所
court of impeachment 弾劾裁判所
court of the first instance 第一審の裁判所
court of the original instance 原裁判所
court precedent 判例
covenant 契約、捺印契約
cram down クラムダウン、破産者保護、破産債務圧縮
creation of property rights 物権の設定
creation of rights 権利の設定
credibility of evidence 証拠の信用性
credit 債権、信用、信用貸し、貸方

credit to the capital(資本への組入れ)

creditについては、以前にブログ「英文契約書の用語、構文(その13)「CreditとLoan」でとりあげています。

ここでは、前回とりあげなかった「Credit」用法の一例として、credit $  to(ドルを~の口座に入金する)という表現-つまり、お金を相手方に支払うという意味-の例文を作成してみました。

「Credit」の用法について

Party A shall credit Party B the payments due to Party A from Party B for the services.

「甲は、サービスに関して乙が甲に対して支払うべき未払いの支払いを乙に支払う。」

これらの例でも、何となくあやふやな気がします。最近、Twitterなどでたまに見かける一例をあげてみます。 All pictures are credited to their respective owners.(すべての写真(の権利)は、各所有者に帰属します。
辞書を見ると「credit to」は多くの場合、「貸し方に記入する」となっていますが、この場合、「自分のTwitterのサイトに載せているすべての写真は、それぞれの所有者にあります。」とすれば分かりやすいのでは。

creditor 債権者、creditor beneficiary(受益債権者)
crime・constituting condition 犯罪構成要件
crime 犯罪
criminal 犯人、criminal act(犯罪行為)、criminal action(刑事訴訟)、(公訴)criminal case(刑事事件)、criminal compensation (刑事補償)、criminal disposition(刑事処分)、criminal proceedings(刑事訴訟)、criminal prosecution(刑事訴追)、criminal responsibility(刑事責任、責任能力)

cf. 民事(civil affairs)、民事事件(civil case)、民事訴訟(civil action、civil litigation)、民事責任(civil liability、civil responsibility)

cross examination 反対尋問、交互尋問
cross-action 反訴
culpa 過失、negligence(過失)
culpability 責任、非難できない行為
culpable 有責の
curator 保佐人
custodian 管理者
custody 監護権、保管
custom 慣習、慣習法、custom duty(関税)
customary 常習的な
customary law 慣習法
customs 関税、税関、customs declaration (税関申告書)、customs duty (関税)
damage 損失、damage to credit(信用毀損)、damages(損害賠償、損害賠償額)、損害賠償(indemnity、compensation for damage、compensation for loss, indemnification for damage)、restitution(賠償)、Indemnification(保障、免責、賠償、補償、保障金)punitive damages(懲罰的損害賠償金)、liability for damages(損害賠償責任)、indemnifier(損害補償者)

上記は、損害賠償に関する用語の幾つかの例ですが、損害賠償に関する用語は、様々に表記されます。

「damage」について

上記の意味を持つ単語ですが、損害賠償に関する記述として「damages」として

用いられます。

損害賠償に関する簡単な例文を作ってみました。

The Contractor acknowledges that monetary damages may not be a sufficient remedy for unauthorized disclosure of Confidential Information

「請負業者は、損害賠償金が、機密情報の不法開示に対して、十分な救済となり得ないことを承認する」

「credit」、「damage」とも重要な単語です。ここで触れたほかにも、多くの用例があります。これらの単語についてより正確に知る必要がある場合、辞書や専門書をご覧ください。

参考図書
法律用語辞典(有斐閣)
英和大辞典(研究社)
コンパクト六法(岩波書店)
Trend (小学館)
Oxford Dictionary of English他

英文契約書のブログについてのあれこれ(その2)

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ここ1年ほどの閲覧数が多い英文契約書に関連するブログのTop 3を見てみました。

閲覧数が一番多かったのは、「英文契約書の用語、構文 (その22)(別紙/付属文書について)」。

次が、英文契約書の用語、構文(その14)条、項について」。

3番目が、「英文契約書の用語、構文(その11))「will」、「shall」、「may」、「agree to」、「acknowledge that」など」となりました。

ちなみに、2017年6月の閲覧数と比べてみると、

2017年6月時点で一番多かったのは、英文契約書の用語、構文「thereof, thereafter, therein, thereto等」(その3、2番目は、2017年と同じく、英文契約書の用語、構文 (その22)(別紙/付属文書について)、3番目も同じく、英文契約書の用語、構文(その11)「will」、「shall」、「may」、「agree to」、「acknowledge that」となっていました。

閲覧数の4番目から10番目までをみても、英文契約書に関する基本的な知識とか、構造について確認するためにご覧いただいているように見受けられます(当方の勝手な想像で申し訳ありません)。それだけ英文契約書を扱う機会が多いのかもしれません。

これからも、実務面で多少なりとも参考になるようなブログを続けられれば幸いです。あなを、いつも申し上げていることでことですが、ブログのテーマを深く掘り下げることはありません。正確なところは、辞書や専門書をご覧ください。

英文契約書の用語(単語編)co-co(4) (No.15)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。なお、ここに記載してない単語、用例も多くあります。

consolidation

合併、 統合

consortium

コンソーシアム、組合、協会

constituent

構成要素、成分、constituent general meeting (創立総会)

constitution

憲法、構造

constitutional

合憲的、合法の、構成上の

constitutional right(憲法上の権利)
constitutional state(法治国家)

constitutionalism

立憲政治、 憲法擁護.

constitutum possessotium

占有改定

construction

(法律の)解釈、建設、構文、構造

constructive

建設的、擬制の、法定の

constructive eviction

擬制の追立て、擬制立退き、解釈上の立退き

construe

説明する、解釈する

consular jurisdiction

領事裁判権

consultative body

諮問機関

consumer

消費者

consumer credit

消費者信用

consummation

完成、完了、成就、達成、頂点、到達、既遂

contempt of court

法廷侮辱罪、法廷侮辱

Continental Law

大陸法

contingency

偶発、偶発事故、(偶発事件に)付随する事柄

contingent liability

偶発債務、不確定責任

continuous transaction contract

継続的取引契約

contract

契約

contractor

契約者、請負人、工事請負人

contribute

貢献する、寄付する、資する、寄贈する、

contribution

寄与、求償権、出資、保険料

contributor

出資者

contributory conditions

寄与条件

contributory negligence

寄与過失、過失相殺(comparative negligence)

controller

監査役、会計検査役、管理人

convene

召集する、召喚するconvocation(召集)

The Chairperson of the Board shall convene a meeting of the Board of Directors and serve as the Chairperson of the meeting.(取締役会は取締役会長がこれを招集し議長となる。)

call(招集する)、calling(招集)

The annual shareholders meeting of this company shall be called in July every year.(当会社の定時株主総会は毎年7月に招集する)

conversion

転換

conversion of shares(株式の転換)

convertible bond(転換社債)
convertible shares(転換株式)

conveyance

不動産の譲渡

convocation

招集

cooling off

クーリングオフ

cooperation

協力、扶助

cooperative(共同の,共同事業の、協同組合)

co-ownership

共有

copyright

著作権

corporate capacity

法人の資格、会社の権利能力

corporate entity

法人、企業体、法人格(corporate personality)

corporate governance

コーポレートガバナンス、企業統治

corporate lawyer

法人顧問弁護士、企業内弁護士

corporate name

商号

corporate purpose

会社の目的

corporation

会社、法人、社団法人、地方自治体(local government、municipality)

corporation in public interest(公益法人)corporation tax(法人税)

corporeal things

有体物

The term “Things” as used in this Code shall mean tangible thing(この法律において「物」とは、有体物をいう-民法)

correction

訂正、修正、補正、罰

correspondence

書状、信書(letter)、通信

business correspondence(商業文、商業通信、業務通信)

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English他

英文契約書における「and/or」

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契約書翻訳の際、最近、気になったand/orという表現について書いてみました。

 英文契約書では「and/or」という表現が良く使用されます。(もちろん英文契約書に限らず他の分野でも使用されます。)

and/orは、字義通りに訳するなら、「and/orは、「および/または(および/もしくは)、(両方とも,またはいずれか一方)」となります。

ただし、現実にはさまざまな分野の文章で「and/orを、単に、「および」と一括りにして訳す場合もあります。むしろ「and/orは、「AおよびB」や「AとB」のように訳されている場合が一般的ではないでしょうか。また、そのように訳しても一見問題はないようです(実際、ほとんどの場合、問題ありません。)。

これについて、英文契約書の翻訳という観点から見た場合は、どうでしょうか。

上記のように「A and/or B」の文章は、「A and B」と「A or B」の2つの文章から構成されています。

「A and B」の場合、AとBの両方の意味になります。

「A or B」の場合、AまたはBである(Aであり、Bでない、またはAでなく、Bである=AまたはBのいずれか一方)の意味になります。

簡単な例文を作成してみました。

The order is placed by phone and/or written document.「注文は、電話および/または文書で行われる。」

すなわち、「注文は、電話と文書で行われることもあるし、電話または文書かのいずれか一方で行われることもある。」言い換えれば「注文は、電話と文書を使用して行われることもあるし、電話だけの時もあり、文書だけの時もある」となり、少なくとも3通りの状況があるとしています。

ところが「and/orを、「および」のみとしてしまった場合、「注文は、電話と文書で行われる」の意味になり、「注文は、電話だけの時もあり、文書だけの時もある」の部分が排除されてしまいます。

そのため「注文は、電話および文書で行われる。」とのみ訳された契約書は、翻訳された契約書の内容が契約書の起草者の本来の意図と相違します。これにより契約の当事者(または翻訳を依頼されたお客様)が不利を被る可能性も一概に否定できません。「and/or」とするのはそれなりの意味があると考えます。

とくに、「A and/or B」のA、Bの各部分が単語ではなく、複雑な文章(または長文)で構成されている場合、「and/or」=「および」と一括りに訳すと、さらに問題は複雑になる可能性もあります。

英文契約書の「and/or」の使用と訳し方については、人によりさまざまのようですが、少なくとも、「A and/or B」は、「Aおよび/またはB」とするのが無難と思われます。

例文に訳文が付いている場合、それらの訳文は暫定訳です。
本ブログの内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。

弊社では、豊富な経験と知識に基づき原文に忠実かつ適格な翻訳を適正価格でお届けします。英日翻訳、日英翻訳のいずれにも対応しております。

参考図書:

ランダムハウス英和辞典(小学館)

新英和大辞典(研究社)他

英文契約書の用語(単語編)co-co(3) (No.14)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとします。注意すべき言葉には、簡単な文例を作成してみました。機密保持に関する単語confidentialconfidentiality、法の抵触等の意味で使用されるconflict of laws等を見てみます。その他英米法に特有の概念であるconsiderationをみてみました。

condemnation

非難、有罪の判決、罪の宣告、宣告の根拠、公用徴収、収用、没収

condition

条件、契約条項

terms and condition (条件、契約条件、取引条件)

condition precedent(停止条件、前提条件)

condition subsequent(解約条項、解除条件)

conditional claim(条件付債権)

conditional contract(条件付契約)

conditional offer(条件付き売買申込み、 条件付き申込み)

conduct

行為、行動、運営、管理

指揮する、案内する、行う、管理する、経営する

confidential

機密の、秘密の、信任の厚い

confidential information(機密情報、秘密情報)

confidential relation(信頼関係)

 「confidential」については、下に記載の「confidentiality」と共に、以前にブログ「機密保持義務に関する条項(Confidentiality)、機密保持契約(Confidentiality Agreement)/非開示契約(Nondisclosure Agreement)に見られる用語」で書いたことがあります。ご興味があればごらんください。

confidentiality

秘密性、機密保持

confidential(機密の)

Confidentiality Agreement(機密保持契約、守秘義務契約)、Non-disclosure Agreement (非開示契約、NDA)等、単体の契約として多く見受けられるほか、例えば、売買契約、代理店契約等、一般的な契約の中の1つの条項として「Confidentiality」が記載されている場合も多くあります。

a breach of confidentiality(機密保持義務違反、守秘義務違反),

obligation of confidentiality(機密保持義務、秘密保持義務)

secrecy(秘密、機密)、in strict secrecy(極秘で)

confine

閉じ込める、監禁する、収容する

confinement(監禁、拘置、収容)

confirmation

確認(すること)、確証、確認

confiscation

没収、押収

conflict

争い、争議、論争、衝突(利害等の)

conflict of interests(利害の衝突・利害の対立)

文中でも使われますが、独立した一条項として存在する場合もあります。

conflict of laws

法の抵触、抵触法、国際私法

以下に作成した例文のように使用されることもあります。

This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the State of California, without regard to the conflict of laws provisions of such state.「本契約は、カリフォルニア州の法律条項に抵触することなく、カリフォルニア州の法律に準拠し、解釈される。」

confrontation

利害、意見等の対立

confusion

混同、債務の混同、営業主体の混同

connection

連結(すること)、結合、連接、縁故関係

consensual contract

諾成契約

consensus

総意

consent

承諾、同意

consent order

同意命令書

consent required

同意要求

consequential damages

間接損害

conservator

財産を管理する人、後見人

conservatorship

後見制度

consideration

約因、代金

 以前にブログ「英文契約書の前文」でも書いたことがありますが、英米法に特有の概念で、契約に有効性と拘束力を与えるために必要とされます。なお、give and takeの関係が規定されている場合、この用語が記載されなくても有効とされるようです。

 NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual agreements contained herein, the parties hereto agree as follows:

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English他

英文契約書の用語(単語編)co-co(2) (No.13)

投稿日 ブログTags:

英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとします。注意すべき言葉には、簡単な例文を作成してみました。今回は、苦情を意味するcomplaint、今では、日本語化し、法令順守等の意味に使われるcompliance、契約条件として使用されるcondition等をみてみました。

complaint

苦情、訴状、申立て

customer complaints(顧客の苦情)

Official distributor shall handle customer complaints and report them to the head office「正規代理店は、顧客の苦情を処理し、本社に報告する。」

completion

completion of liquidation(清算の結了)

completion of prescription(時効完成)

completion of sale(売買の完結)

completion of statute of limitation(時効完成)

The contractor shall be responsible for the on-site inspections of the work in progress and after completion.「請負業者は、作業進行中と作業完了後の現場検査に責任を負う。」

compliance

遵守(順守)、コンプライアンス

「コンプライアンス」として、すでに日本語として定着し法令順守をはじめとする意味で疲れわれているようです。

The parities hereto shall be compliance with the applicable laws「当事者は、適用法を順守する。」

complicity

共犯

comply

順守する、法令などを順守すること

(要求・命令・仕様・規格など)に応じる

comply with the requests「要求に応じる」

The parities hereto shall comply with the applicable laws「当事者は、適用法を順守する。」

composition

構成物、和解、債務一部免除契約

compound interest

複利

comprehensive coverage

総合保険、総合保証

comprehensive insurance(総合保険)

compromise

和解、妥協

XXX will not compromise any litigation without the consent of the other party.「XXXは、相手方の同意なしに訴訟に和解をしない」

compulsion

強制

compulsory execution(強制執行)、compulsory investigation(強制捜査)、compulsory measures(強制処分)

c.f. compulsory(強制する、強制的な、義務的な、必修の)、mandatory(義務的な、強制の、必須の、命令の)

voluntary(自発的な、任意の、)

In case of xxxx, AAA enters into liquidation (whether voluntary or compulsory) 「xxxxの場合、AAAは、(自主的なまたは強制的なを問わず、清算に入る。」

computation of period

期間計算

con man

詐欺師confidence man(詐欺師)

conceal

隠匿する

concealment

隠蔽、秘匿

concern

~に関係する、財閥、コンツェルン

concession

譲歩、特権の付与、土地使用権

concessions

利権

conciliation

調停、和解

concludeatrial

結審する

conclusive evidence

確定的証拠

conclusive presumption

みなし

concurrence of claim

請求の競合

concurrency

兼任

concurrent

共同の、兼任の

concurrent conditions

同時履行条件

condemnation

公用徴収、非難、有罪宣告、没収

condition

条件、契約条項

condition precedent(停止条件)、(前提条件)、condition subsequent(解約条項)、(解除条件)、conditional claim(条件付債権)、conditional contract (条件付契約)、conditional offer(条件付申込み)、terms and conditions(条件)、(契約条件)、(取引条件)

Terms and Conditions of Sale「売買条件」

参考図書

  • 法律用語辞典(有斐閣)
  • 英和大辞典(研究社)
  • コンパクト六法(岩波書店)
  • Oxford Dictionary of English他

英文契約書の用語(単語編)co-co (No.12)

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英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。すべてを網羅する予定はなく、また、「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとします。(いずれも経験則による主観的な内容です。用語の「意味、用法」については、辞書や専門書をご覧ください。)注意すべき言葉には、例文を作成してみました。今回は、「common law」、「compensate」、「compensation」その他について少し見てみます。

common

common area「共有部分」、common benefit「共同の利益」、common land 「入会地」

 Common Law 「コモン・ロー、英米法,判例法,慣習法」

特に、制定法(statute law=議会立法)と区別した判例法(case law)。慣習や慣例を起源とします。英文契約書でよく目にする単語です。「common law」について書かれた多数の文献、解説書があります。興味のある方はどうぞ。

 cf.ローマ法、教会法-世俗法、制定法-不文法、エクイティ:Equity (law)

Equity」は、「Common Law」と共に良く目にする単語です。「エクイティ」または「衡平法」などと訳されます。「コモン・ロー」の不備を補う個別的救済を与えることから開始されていますが、これも詳細は、省きます。

 使われ方について、簡単な例文を作成してみました。

 The parties hereto shall waive their right to assert any common-law indemnification.

(本契約の当事者は、コモン・ローによる補償を主張する権利を放棄する。)

 common law action[名]コモン・ロー訴訟

 そのほか、「common」が付くような用語には以下のようなものもあります。

common law trust [名]コモン・ロー信託,事業信託

common property [名]共有財産

common sense [名]社会通念,常識

common share [名]普通株

common stock [名]普通株

common will [名]共同遺言

commonage[名]入会権

commotion

騒乱

communicate

意思を疎通させる

communication

意思の疎通,コミュニケーション

community of goods [property]

財産共有

commutation

減刑

company

会社、企業

company in liquidation

清算会社

comparative fault

過失相殺

comparative negligence

過失相殺

compensate

償う、弁償する

compensation

補償,補償金,給与

「compensate」、「compensation」とも、英文契約書では、良く使われます。

 compensate damages (損害を賠償する)compensation for damages (損害賠償金)、compensation for expenses (費用の賠償)、compensation for industrial accidents (労災補償)、compensation for mental suffering (精神的損害に対する賠償,慰謝料)、compensation in money(銭賠償)、 compensatory damages (補償的損害賠償)

 簡単な文例を作ってみました。

Compensation and terms of payment for the consultants shall be provided for in the Exhibit 1. (コンサルタントの報酬と支払条件は、Exhibit 1に規定)

Compensation for damages under the Agreement may be claimed based on xxxxx.(本契約に基づく損害の賠償は、xxxxxに基づき請求することができる。)

competency

能力、適格性 competency of evidence(証拠能力)、competency to stand trial (訴訟の能力)

competent

管轄権を有する,正当な権限の

competent court(管轄裁判所)、competent court of the first instance(管轄第一審裁判)、これらは、英文契約書の「準拠法」条項に多く記載されます。

 簡単な文例を作ってみました。

Any dispute or controversy arising from the parties hereto shall be submitted to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court of Japan for the first trial. (当事者に起因する紛争または論争については、東京地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする)

 そのほかにも、「competent」は、他の語と組み合わされて、ほんの一例ですが、Competent Government agency(主務官庁)とか、court of competent jurisdiction (管轄裁判所)、competent person (適格者)などとして契約書の中で使われているのを見受けます。

参考図書

  • 法律用語辞典 有斐閣
  • 英和中辞典 研究社
  • コンパク六法 岩波書店
  • Oxford Dictionary of English 他