英文契約書の単語・用語 due、 due to

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単語「due」は、英文契約書に限らず、様々な分野で使用され、様々な意味を持ちます。そのため、契約書では様々に訳されるため、ある意味つかみどころのない言葉です。「due」の用法についてもその語源も含めて様々な解説がされていますが、今回は英文契約書における「due」の使われ方のうち、とりあえず知っておけば便利な使い方に絞って、主なものを契約書翻訳の観点から作成した例文を通して見てみます。

1. dueの語源

「due」の語源については、様々な説明があります。

とりあえず、Oxford Dictionary of Englishにある「due」の語源(Origin)を見ると、「Middle English (in the sense of “payable”): from Old French deu “owed”, based on Latin debitus “owed”, from debere “owe”とあります。

「中世英語(「支払うべき」の意味):ラテン語のdebitus「owed(:支払い義務を負う/(義務を)負った)」に基づき、debere「owe(支払い義務を負う/義務を)負っている)」に由来する古期フランス語のdeu「owed(支払い義務がある/(義務を)負った)」です。

さらに意味を確認してみると、以下のように記載されています。

形容詞としての用法

(1) Expected at or planned for at a certain time. Of a payment required at a certain time. (特定の時期に予定され、または計画されていること。特定の時期に必要される支払い。)

(2) of a proper quality or extent. Adequate(適切な品質または範囲。適切。) driving without due care and attention. (細心の注意(相当な配慮と注意)を払わずに運転する。)

名詞としての用法

(1) one’s dueの場合。a person’s right(人が持つ権利)

(2) duesの場合。an obligatory payment(義務的としてなすべき支払い)、a fee(料金)

2. dueの主な意味

様々な意味を持ちますが、ここではあくまでも英文契約書で使われることが多い「due」の意味を中心に見てみます。(上記のように「due」は、形容詞、名詞、副詞として使われますが、ここでは文法に関する説明は行いません。実務的にはこのようなものであると理解すれば十分です。なを、以下の用例以外にも様々な意味があります。)

a.「当然支払われるべき」、「支払期日が到来した」、「満期の」等

b.「正当な、」、「当然の」、「相応の」等

c.「~のために、~に帰すべき:「due to」として」

d.「当然与えられるべき「due toまたはdue」として」

e.「~する予定で」

3. 英文契約書で見られるdueを使った用語のいくつかの例

すでに述べたように様々な意味と用法があります。due単体でも使用されますが、多くの場合、他の単語と組み合わされて、「句= phrase」として使用されます。*例えば、以下のような語句があります。

due act 正当な行為:legitimate act
due care 相当な注意:a good deal of care, (all) reasonable care, due attention
due date 支払期日、満期日:the date on which something falls due, especially the payment of a bill.(何かが期日を迎える日付、特に請求書の支払い。)
due diligence 相当な注意:reasonable steps taken by a person in order to avoid committing an offence, especially in buying or selling something.(特に何かを売買する際に、犯罪を犯さないようにするために人がとる合理的な措置)
due process (of laws) 法の適正手続き、適正な手続き:fair treatment through the normal judicial system通常の司法制度による公正な扱い)
due reason 正当な理由

*上記以外にも、適宜、他の語と組み合わされ、または単体で使用される場合が多くあります。これらも含めいずれも文脈・内容により適用される意味が異なります。契約書等で長い条文の中で使われている場合など、文脈・内容を把握して意味を確定します。

4. dueを使った例文

以下に、主に上記の「due」の用例を使った例文を作成してみました。

The train is due in Tokyo at 6:25 p.m. (列車は午後6時25分に東京に到着の予定)

He is due to graduate in June. (6月に卒業することになっている)

This accident was due to a system error. (事故はシステムエラーに起因した。)

the money due to him. (彼に支払うべき金)

Any amounts which are not paid within the due date will be subject to interest of one percent (1%) per month, which will be immediately due and payable.(支払期日までに支払われない額は、1ヵ月当たり1%の利子が科せられ、即時に支払期日が到来する。)

Prior to the due date for filing by the Company of any Tax return, report or other filing that relates to a tax period beginning before the Closing Date and ending after the Closing Date…. (会社が、クロージング日前から開始し、クロージング日後に終了する課税期間に関連する納税申告、報告書、またはその他の提出物の提出期日に先立ち….)

There are no Tax liens on any of the assets of the Company, except for liens for Taxes not yet due.まだ期限が到来していない税に対する先取特権を除き、会社の資産のいずれに関しても、税の先取特権は存在しない。

The Company shall be timely paid over such taxes or other amounts to the appropriate governmental authorities to the extent due and payable.(会社は、適時、かかる税または他の額を納付すべき範囲まで当該政府機関へ支払うものとする)

 

Each party agrees to exercise due care in protecting the Confidential Information from unauthorized use and disclosure. (各当事者は、不正使用および不正開示から機密情報を保護するための相当な注意を払うことに同意する。)

 

Some of the key issues already identified to be investigated further during the due diligence process exist. (デューデリジェンスプロセス(適性評価)中にさらに調査する必要があるとすでに特定されている重要な問題がある。

5. その他のいくつかの用例

become due (fall due) (満期になる)

the honor due (to) him(彼に与えられるべき名誉)尊敬・称賛などが〉(人に)当然与えられるべき((to …))toが省かれる場合がある。

以下は、「当然の」、「正当な」、「それ相当の」、「十分な」の意味です。

with (all) due respect(十分に敬意を表して)

in due form(正式に)

in due time(そのうちに)

会費、組合費、料金、手数料、税金を表して(通例~s)

club dues(クラブ会費)

harbor dues(入港税)

ざっと見ただけですが、英文契約書に記載されているか、否かにかかわわらず、単語「due」の使い方は、難しいものがあります。理由のひとつは、冒頭に述べたように他の単語と組み合わされ場合、それが使われた文脈により、日本語の訳が変わるためです。ネイティブからすれば「due」はあくまでも「due」です。単語「due」慣れるためには、やはり多くの文例に接する必要があるようです。

 

参考図書

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)

Business English (BARRONS)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

法律英単語(自由国民社)

英文契約書の用語・単語 「base」と「basis」

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契約書翻訳の観点から、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる英文契約書でよく使われる単語と用語を取り上げています。

英文を読んでいると「~ basis」、または「based on」等という単語をよく見かけます。これらの用語は、英文契約書に限らず、日常的にさまざまな分野で使用されます。この用語に使い方を覚えると、英文契約書に限らず、自分で英文を書いたり読んだりするのに意外と便利です。ここでは、英文契約書で散見されるフレーズを中心にいくつかの例文を通してこれらの使い方を見ていきます。まず、元となる単語「base」と「basis」の意味を振り返ってみます。

1. 「base」と「basis」の主な意味

基本的に「base」と「basis」の主な意味は同じです。主な意味としては「*the lowest part or edge of something, especially the part on which it rests or is supported」 (*Oxford Dictionary of English)

すなわち、「何かの最下部もしくは端、特にそれが置かれている、もしくは支えられている部分」であり、「基礎」、「元になるもの」であり、「base」は、「ベース」として日本語で使われます。なお、今回は、その中でも、「basis」について見てみます。

2. 「on the basis of」が使われたフレーズのいくつか

On the basis of ~(~に基づいて)およびOn a(n) basis(基準として)は、個々の状況に合わせて挿入する単語により色々な状況を表現することができます。契約書においてはどのような基準で、どのような状態によって、どのような状況下でのような、現状を説明する必要があるため使用される場合が多々あります。

On the basis of、on basis of、on a basis ofの場合は、ofの後に単語を入れます。「~を基にして」、「~を基準として」の意味となりますが、On a basisの場合は、On aとbasisの間に単語入れます。間に入れた単語を基にして、「~を基準として」のように使用します。たとえば、On a xxx basisとなり、「xxxを基準に(基に)」してのようになります。

on the basis ofを使用した例文

In lieu of such fractional share, the Company shall make a cash payment therefor on the basis of the Exercise Price then in effect.(当該端株に代わり、会社は、その時点で有効な権利行使価格に基づき現金支払いを行う。)

on the basis of the known beliefs and values, xxxx(確信していた信念と価値に基づき、xxxx)

N company shall pay F company a quarter yearly compensation on the basis of N company’s report against the invoice from F company. (N社は、F社からの請求に対し、N社のリポートに基づき、年に4回の報酬をF社に支払うものとする。)

3. 「on an (a) xxxx basis」、「on the xxxx basis」が使われたフレーズのいくつか

on an equal basis             対等に[で]

Working conditions should be determined by the workers and employers on an equal basis.(労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。)(労働基準法

on a trial basis:試しに

The plant has installed a solar power generation system on the roof on a trial basis.

(工場は、屋根に太陽光発電システムを試験的に設置する。)

on a fifty-fifty basis: 五分五分で

The new firm was owned on a fifty-fifty basis by the two companies.(新しい会社は、2社により対等に(折半で)所有されている。)」

on a first-come-first-served basis: 先着順で

Reservations will be taken on a first-come, first-served basis on the day

(当日の先着順にて予約を受付ます。)

4. 便利な使い方の例:臨機応変に実情に合わせて使用可能

以下のように、単語を入れ替えれば、臨機応変に実情に合わせて使用することができます。

a. 時間軸で

on an everyday basis: 日常の

on a daily basis: 1日ごと、日々、毎日

on a five-day week basis: 週5日制で

on a monthly basis: 毎月、月1回(の頻度で)、月単位で、月額で

on a quarterly basis: 四半期ごと

on a long-term basis: 長い期間にわたり

on a regular basis: 定期的に

on an irregular basis: 不定期に

on an ad hoc basis: 臨機応変に

on a permanent basis: 永久的に

b.  地域単位で

on a prefectural basis: 県単位で

on a national basis: 全国規模で

on a global basis: 世界中の

c. その他

on a part-time basis: パートタイムで、時間給で

on an interactive basis: 対話形式で

on a parallel basis: 平行に

on a steady basis: 手堅く

on a segment by segment basis: 分野ごとに

amortized on a straight-line basis over 5 years: 5年間の定額法により償却する

on an experimental basis: 試製ベースで

on a voluntary basis: 自主的に

on a commercial basis: 商業ベースで

on a yen basis: 円建てで

on a cost effective basis: 高い費用対効果で,高いコストパフォーマンスで

on an individual basis: 人[個別]的に

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press)他

 

英文契約書の用語(単語編)expire, expiration, terminate, termination

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いずれも英文契約書法律文書ではなくてはならない単語です。ここでは、契約書・法律文書で使用されるexpire, expiration, terminate, terminationについて、作成した例文を通して、契約書翻訳の観点から主な使われ方を見てみます。

1. expire, expirationについて

expireは動詞、expirationはその名詞形です。

a. 主な意味は、期間や権利が「満了する」、「終了する」、「失効する

辞書をみると、expireは、第一義として、主にある期間や権利、具体的には契約期間・保証期間等が「満了する」、「終了する」、「失効する」、「期限が切れる」、「満期になる」等の意味があると記載されています。なを、英語特有の1つの単語にいろいろな意味があるという性質から、一例ですが、expireの名詞形のexpirationの場合「呼気」などの意味があります。「expire」は契約書法律文書に限らず、日常用語として使われ、例えば、パスポートの有効期限が切れる(失効する)場合、「My passport will expire next month」等となります。

b .英文契約書における用例

英文契約書では、例えば契約期間が切れる(満了)する場合は、「This agreement shall become effect on the effective date and shall expire on YYMMDD.(本契約は、発効日に発効し、xx年xx月xx日に満了する)」

上記の例は、契約期間を定めただけのものですが、「契約期間を定めて、当初定められた契約期間が終了した後はどうするか」を決める必要があることが多々あります。

例えば、当初の契約期間(仮に3年間とします)が終了した後も、問題がなければ契約期間を延長したい場合は、例えば、「This Agreement shall be commenced from the effective date and continued for three (3) three years and thereafter automatically extended for additional one-year. (本契約は発効日から開始され、3年間継続され、その後自動的にさらに1年間延長される。)」この延長について当事者間の協議により延長するか否かを決めておく場合は、「and thereafter automatically extended for additional one-year」の後に、例えば、provided, however, that such extension period shall be determined based on consultation between the parties of this Agreement(ただし、当該延長期間は、本契約の当事者間の協議に基づいて決定される。)などとします。上記は、例文用に作成したほんの一例で契約期間の内容、性質、契約期間の定め方の方法等もさまざまで、それらの書き方も多々あります。

c. その他の意味

ところで同じ「満了する」の意味でも、保険や債券(例:手形など)、定期預金の場合、「満期になる」、「満期を迎える」等の言い回しがあります。これが日本語の難しい側面です。いずれの場合でも「expire」を使うことができます。The term of casualty insurance with installment savings expires in next year. (積み立て保険は来年満期になる)なを、満期=期限の到来という意味では、「mature」、「due」を使うこともあります。例えば、手形の支払期日が来た場合、A bill maturesとか、A bill falls due等の表現があります。

その他法律文では、ほんの一例ですが以下のように使われる場合もあります。

When the term of office of a commission member expires, the commission member is to perform the duties until the successor is appointed.(委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。)(電気事業法

「expiration」については、多くの場合「expiration date(満了日・失効日・満期日)等」等、他の語と組み合わせて使用されます。

2. terminate, terminationについて

a. expire, expirationとの微妙な違い

terminateは動詞、terminationはその名詞形です。

いずれもexpire, expirationと同様に主に「終わり」を意味しますが、expire, expirationが、契約書の場合は、当初定められた契約期間が単に終了する(満了する)的な意味合いで使われるのに対し、辞書を見ると、terminateの第一義は、「終わらせる」、「終結させる」-何らかの理由等で終了させる―と記載されています。特に契約の場合は、契約を終了させる(terminate a contract)と説明されており、terminate, terminationは、基本的には「契約の解除、解約-終わらせる」の意味で使われます。

A settlor and a beneficiary may terminate a trust at any time by an agreement between them.

委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。)(信託法)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/kwic/?re=01

英文契約書で使われる頻度でみると、経験的に、expire, expirationは「契約期間が満了する、満期になる」というニュアンスであり、terminate, terminationは、多くが「定められた契約期間の途中でその契約を終了する」の意味で使われています。(ただし個々の英文契約書によりますが、文脈的に、「terminate」が解除=満了または単に契約の終了の意味を含む場合もあります。このあたり文脈により判断する必要があります。)

例えば、「early termination」なる用語があります。The term of this Agreement shall be for three (2) years commenced from its effective date unless otherwise earlier terminated hereunder.(本契約の期間は、本契約に基づき早期に終了する(中途解約の)場合を除き、発効日から開始して3年間とする。)この例文の場合、動詞terminate+earlierの形ですが、契約期間にかかわらずとにかく契約を終わらせるという趣旨です。いずれにしても、契約期間中であっても、さまざまな理由で契約を解除する必要があることが想定される場合「terminate」を使用して、例えば、This Agreement shall be terminated in the following cases: (本契約は以下の場合解除される)この場合の解除理由は、相手方の契約違反や不履行に起因する場合等さまざまです。例えば、相手方の契約違反によるものなどは、Either party may, at any time, terminate this Agreement without a notice if other party breaches the terms and conditions of this Agreement.(いずれの当事者も相手方が本契約の条件に違反した場合、通知なしにいつでも本契約を解除することができる)

b. 「終了するという意味」での多様な使われ方

terminateは、終了するという意味では、様々な事柄に使用されます。

Program will terminate due to the system error(システムエラーによりプログラムを終了します)

If the parties have not specified the term of employment, either party may request to terminate at any time. In such cases, employment shall terminate on the expiration of two weeks from the day of the request to terminate.(当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。)(民法

3. expire, expirationとterminate, terminationについて

例えば、同一の文章の中でexpireとterminateが両方使用される場合があります。

以下に例文を作成してみました。これは上記のexpireとterminateの性質に由来します。

If this Agreement is terminated by either Party during the period of this Agreement, in which case this Agreement will expire on the date of such termination.(本契約の期間中にいずれかの当事者によって本契約が解除された場合、その場合、本契約は当該解除日に失効する。)

参考図書:

法律英単語 (自由国民社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

日本法令外国語訳データベース

 

英文契約書の用語と単語 「に~させる」の表現 (その2)-compel、enforce、makeを使った場合

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英文契約書で良く見かける用語と単語に関して、前回と同様に使役動詞「~させる」の使い方と使い分けについてです。今回は、英文契約書の用語と単語 「に~させる」の表現 (その1)-cause、imposeを使った場合として、例文を通して、英文契約書での用例を見てみました。今回は、「に~させる」の表現(その2)として、compel、enforce、makeその他を使った表現を契約書翻訳の観点から見てみます。多くの場合、使役動詞を契約書で使用するケースは、「契約当事者も契約内容を守るが、契約当事者の関係者にもその契約内容を守らせる」ということを約するために使用されます。

1. Compel

「(人)に~させる」の意味では、compelはどちらかというと、「無理に~させる」、「強いる」、「強いて~させる」の意味になります。

具体的には、「compel someone to do」の形で、例えば、The Government may compel a person who enters this country to conform to the rules applicable to such person.(政府は、この国への入国者に、入国者に適用される規則に従うように強制することができます。)

また、「compel someone to 名詞」の形で、「強いて〔ある行動を〕とらせる」の意味で使われます。例えば、Buyer shall have the right to compel Supplier to specific performance of the Order.(バイヤーは、サプライヤーによる注文の特定の履行を強制する権利を有するものとします。)なを、本題から外れますが、以下のように書くこともあります。Buyer shall have the right to compel specific performance of the Order by Supplier.

2. Enforce

主たる意味としては、実施する、施行する、強いる、強要する、強める、強調する、強く主張する等の意味があります。

以下に例文を作成してみました。

Each party has the right to enforce this Agreement against the other party by temporary restraining order, injunction, or other equitable relief, without proving actual damages.

「各当事者は、実際の損害賠償を証明することなく、保全命令、差し止め、またはその他の衡平法上の救済により、相手方に対して本契約を執行する(契約を行わせる)権利を有する。」

なを、enforceは、「(人に)に~させる」の意味よりも、以下のように「施行する」、「実施する」の意味で使用される場合が多く見受けられます。

The prefecture concerned shall pay the necessary expenses for the Prefectural Governor to enforce this Act.

「都道府県知事がこの法律を施行するために必要とする経費は、当該都道府県の負担とする。」(建設業法

No person other than a party to this Agreement shall have any rights to enforce any term of this Agreement.

「本契約の当事者以外の者は、本契約の条件を実施するためのいかなる権利も有さない」

  1.  Make

「(人)に~させる」の意味では、日常的に使われる最も一般的な言葉です。もちろん英文契約書でも使用されることがあります。「(人)に~させる」という使い方では、「make + 目的語 + 原形」の形で、英文契約書の用語と単語「に~させる」の表現(その1)の例文、「The Contractor shall cause its subcontractor to carry their identification cards when conducing the site survey.」の文章に「make」を使用してみると、The Contractor shall make its subcontractor carry their identification cards when conducing the site survey. (請負業者は、現地調査を実施する際に、下請業者に身分証明書を携帯させるものとする)

「cause someone to do」が「make someone do」の形になるだけで意味は同じです。経験的には、英文契約書の場合、「make」よりも「cause」が使われています。

4. その他の表現について

「(人)に~させる」という表現は、英文契約書において以外と多く目にする機会があり、以前から取り上げてみたい内容でした。

「(人)に~させる」の意味では、上記のcompel、enforce、make、前回のcause、imposeを使った表現のほかにもさまざまな単語、表現があります。それらについては、別の機会を設けて見てみたいと思います。

参考図書:

カレッジライトハウス英和辞典(研究社)

英和大辞典(研究社)

ビジネス法律英語辞典 日経文庫

日本法令外国語訳データベースシステム

 

英文契約書の用語と単語 「に~させる」の表現 (その1)-cause、imposeを使った場合

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日常でも「(人)に~させる」という表現を使うことがあります。英文契約書では、当事者も契約内容を順守・履行するが、その関係者にも契約内容を順守・履行させるという内容を様々な単語・用語で表現します。

その中から今回は、「cause」と「impose」を使って「(人)にも行わせる」の表現を契約書翻訳の観点から見てみます。

「cause」は、名詞では、原因、理由、根拠、正当な理由、主張、主義、訴訟などに意味があり、動詞として「に~させる」、「~の原因となる」、「~を引き起こす」,「~をもたらす」の意味があります。下記は「に~させる」について作成した例文です。

Party A will hold and will cause their respective representatives to hold in confidence all documents and information concerning the Party B furnished to Party A.(甲は、乙が甲に提供したすべての文書及び情報の機密を保持し、また、自社の各々の代表者にもその機密を保持させるものとする。)

Party A shall keep and shall cause each related party to keep confidential, and cause its affiliates and subseries to keep confidential, all information relating to Party A’s businesses(甲は、甲の事業に関連するすべての情報を秘密に保持し、また各関係者にも秘密として保持させ、またその関連会社および子会社にも秘密として保持させるものとする。)

The Contractor shall cause its subcontractor to carry their identification cards when conducing the site survey. (請負業者は、現地調査を実施する際に、下請業者に身分証明書を携帯させるものとする)

Party A shall cause its customers to agree the safety management rules listed in the following Table 1.(当事者Aは、顧客に次の表1に記載の安全管理基準に同意させるものとする。)

In the event that the Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries deems necessary, he/she shall cause its employees to cooperate with Prevalence Reconnaissance Business by prefectures. (農林水産大臣は、必要があると認めるときは、その職員をして都道府県の発生予察事業に協力させる。)(種苗法

この「cause somebody to do」のほかに、「に~させる」「compel somebody to do」、「force somebody to do」などがあります。

2. Impose.

語源的には、「上に置く」の意味合いがあるため、(政府等の強制力があるentityが)(制裁・税・罰金などを)(人・物に)課する、強制する。(責任・負担などを)(人などに)負わせる,押しつける等の意味があります。

経験的に英文契約書で良く見かける「impose」の用法は、主に「~に~を課する」、「~に~を強いる」が多いようです。

The distributor shall provide repair services without imposing a financial burden on customers(販売代理店は、顧客に金銭的負担を強いることなく、修理サービスを提供する)なを、この文章は通常、こんな感じになります。「The distributor shall provide customers with repair services without cost.」

The Government imposed the high taxation. (政府は高い税を課した。)

作成した下記の例文は、「impose」の用法としてよく目にするものです。

The parties hereto shall impose the same obligation of the Confidentiality equivalent to that of this Agreement on third party and shall assume the responsibility to cause the third party to observe it.(本契約の両当事者は、第三者との間において本契約におけるものと同様の義務を負わせ、これを順守させる義務を負う。)

The Company may impose additional security requirements from time to time by written notice.(会社は、書面による通知により適切な時期に追加の安全要件を課すことができる。)

Party A reserves the right to impose a late penalty interest according to delay damages under Civil Code.(会社は、 民法の損害遅延金に関する条項に基づき遅延利息を課す権利を留保する。)

「に~させる」または「~させる」という表現は、上記のほかにもいろいろな用語・単語を使用したものがあります。これらについては、機会を改めてとりあげます。

参考図書:

英和大辞典(研究社)

ビジネス法律英語辞典 日経文庫

英文契約書の用語・単語 establish、exclusive

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英文契約書でよく使われる単語の中から今回は、「establish」と「exclusive」を契約書翻訳の観点から取り上げてみました。

1. establish

色々な意味がありますが、英文契約書法律文書で良く目にする用法としては、「(会社・法人等など)を設立する・開設する」、「(法律など)を制定する」、「(担保権)を設定する」、「(計画など)策定する」、「実証する/確証する」等で使用されているようです。

Our company was established in 1993. (当社は、1993年に設立された)

A person seeking to establish an incorporated association must prepare articles of incorporation and include in it the following particulars:(社団法人を設立しようとする者は、定款を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない)(民法

There is quite a lot of work required to build an event and establish the initial communication campaign, however once set up, it is run daily without human intervention.(イベントの構築および初期の広報キャンペーンの確立のためには、極めて多くの作業が必要となるが、一度立ち上げてしまえば、人間が介入すること無く、日常的に機能していく)

Party X may establish a security interest on its property (当事者Xは、その資産に担保権を設定する)

「担保」という言葉は、security、 mortgage、 guarantee、collateral等、異なる用語で使用されます。個々の意味については、別の機会にします。

なを、「establish」の用法ではありませんが、「~を担保に供する」という表現が一般でも使われます。一例ですが例文を作ってました。

This Agreement shall be for providing the Share Certificates, etc. as a collateral(本契約は、株券等を担保として提供するものとします。)この他にも様ざまな表現があります。

2. exclusive

一般に「排他的」、「独占的」、「唯一の」などの意味で使われます。さて、ここでは一般的な使い方を見てみます。

特定の事に限定するという意味:

for the exclusive use of members. (メンバー専用)

an exclusive interview(独占インタービュー)

an exclusive private club(専用プライベートクラブ)

exclusive to the stores.(店舗限定)

an exclusive economic zone.(排他的経済水域)

exclusive of xxxで、xxxを除くという意味:

exclusive of tax(税抜きで)

相互に排他的という意味:

mutually exclusive(共存しない、一方のみが、互いに矛盾する、相互に排他的、相容れない)

英文契約書法律文書でも、多くはこれらの意味で使用されます。

経験的にan exclusive agreement/contract/deal、exclusive rights/an exclusive licenseなどが契約書では良く使用されます。

例文を作ってみました。

Either party shall have the right to request the dispute to be finally settled by arbitration in accordance with the Rules for expedited arbitrations of the Arbitration Institute of the XXX Chamber of Commerce.(いずれの当事者も、XXX商工会議所の仲裁機関の簡易仲裁の規則に従い、最終的に仲裁により当該紛争を解決することを求める権利を有する。)

Licensor is the sole and exclusive owner of the copyright and all like rights for the Licensed Territory in the products;(ライセンサーは、製品に関し許諾地域における著作権と同様なすべての権利に係わる唯一かつ排他的な所有者である。)

Company A shall sell the Products to Japan on an exclusive basis for use in the Application under the terms and conditions set forth herein. (A社は、本契約に規定の条件に基づき本アプリケーションの独占的使用において本製品を日本において販売する)

参考図書:

法律英単語(自由国民社)

ビジネス法律英語辞典 (日経文庫)

英和大辞典(研究社)他

Japan Law Translation

英文契約書の用語 単語 「entitle」その2

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契約書の翻訳をする際に「entitle」という言葉を目にします。今回は、「entitle」を取り上げてみます。この言葉は、以前、英文契約書の用語 単語編 No. 35で一度取り上げたことがありますが、今回、再度、別の観点から取り上げてみます。

話がそれますが、テレビで野球を見ている時に、「エンタイトルツーベース」とアナウンサーが絶叫しているときがあります。そのまま訳すと「entitled two-base」だと、「ツーベースの資格がある、その資格が与えられる」となります。何かのおかげで二塁まで出塁できるヒットという意味で使われているようですが、「entitled two-base」または「entitled two-base hit」は、和製英語です。英語では、Ground-rule Doubleとなります。ただし、和製英語の中でも「entitle」の意味をそれなりに把握した和製英語です。

1. entitleの意味の復習

「entitle」は、名詞「title」からできた動詞です。名詞の「title」には「肩書き」、「権利・資格」という意味もありますが、それに接頭語「en-」を付けて、「entitle」という動詞になります。

このような形式の名詞から動詞には、「body」に接頭語「em-」を付けて、embodyとなるものがあります。

ちなみに、embodyの主な意味は、「具体的に表現する」、「具体化する」、「具現化する」、「まとめる」、「統合する」という意味があります。何かにボディを与え、具体的なものにしていく、具現化していくとなります。

「entitle」を使った熟語が、「entitle 目的語 to 名詞」です。この場合の目的語は「人」であり、名詞の部分が〔…の〕であり、人に~の権利(資格)を与えるになります。

The Child will establish the Trust and entrust the proceeds of the Loan to the Trust(「子」が「信託」を開設し、「債権」の収益を「信託」に委託します。

Recipient further acknowledges that XXX has treated such Proprietary Information as confidential and secret information that XXX entrusts to Recipient in strict confidence.

(さらに、XXXが「受領者」に極秘として委ねた機密情報および秘密情報として、XXXが、当該「財産」に関する情報を取り扱ったことを「受領者」は、承認する)

When Products are entrusted to the LICENSEE within the framework of the bailment procedure provided in Schedule 4, (スケジュール4に規定される委託手続き(bailment procedure)の範囲内で、商品が、ライセンシーに委託された場合、)

ここから、「誰か(A)に何か(B)をすることができる資格や、何か(B)を所有する権利を与える」という意味になります。この使い方は、契約書では、概して受動態の「A be entitled to B」の形式で使用することが多々あります。この形式だと長い文章では、意味がとりにくい時があります。その場合、いったん、能動態に直してみると訳しやすくなります。

例として、上記の文章(When Products are entrusted to the LICENSEE within the framework of the bailment procedure provided in Schedule 4, )を能動態にすると、以下のようになります。

When xxx entrusted Products to the LICENSEE within the framework of the bailment procedure provided in Schedule 4,

上記は、余り込み入った文章ではないので、分かりやすくなった感がないかもしれませんが、修飾が多い文章である場合、格段に読みやすさが違ってきます。

その他、英文契約書を読んだり、書いたりするうえで、意味「AにBの資格[権利]を与える」とい意味で使用されることをも多く見受けられます。「誰か(A)に何か(B)をすることができる資格や、ものなど何か(B)を所有する権利を与える」という意味の熟語です。また、受動態の「A be entitled to B」も多く使われます。

2. 「entitle」以外の単語を使用した同様な表現

「~の権利[資格]を与える」、「権利[資格]を与える」等の意味では、「entitle」のほかにも「grant right to」、「give a right to」等、さまざまの用語があります。

All employees are entitled to receive all company benefits. (全授業員は会社のすべての福利厚生を受ける資格がある(権利を与えられている))

The buyer shall be entitled to transfer any rights deriving from this Agreement.

(買主は、本契約から得られた権利を譲渡する権利が与えられている。)

なを、「権限を与える」の意味では、英文契約書の用語 単語編 No. 35の中でいくつかの例として、「empower」、「authorize」、「give an authority」、「grant a power」等があることを書きましたが、具体例は、別の機会でということでした。今回、これらの用語について以下に使用例として簡単な例文を作成してみました。

The manufacture shall not grant rights to the Products in whole or in part to third party. (製造業者は、第三者に製品の全部または一部の権利を付与しない)

It shall not grant any right to make protest against the termination of employment. (解雇に抗議する権利を付与するものではない)

It shall give authority to ~(~に権限を与える)

The court may empower a supervisor to give approval in lieu of the permission set forth in the preceding paragraph.

(裁判所は、監督委員に対し、前項の許可に代わる承認をする権限を付与することができる。)(会社更生法

The contracting officer is futurized to enter into the contract(契約担当官は契約を締結する権限を与えられている)

参考図書

ビジネス法律英語辞典 (日経文庫)

英和大辞典(研究社)

法律英単語(自由国民社)他

英文契約書の用語・単語 Clear

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英文契約書の用語・単語の中からClearを取り上げてみました。単語Clear自体は、一般的、日常的な単語で、英文契約書でそれほど頻繁に目にすることなく、特にとりあげる予定もなかったのですが、最近、目にすることが何度かあり、今回は、Clearについてその元になる意味と英文契約書の中でどのように使用されるか、例文を通して、契約書翻訳の観点から見てみます。

1. Clearの成り立ちと意味

まずは、Clearそのものの持つ意味を改めて確認します。

clar, cleaは、ラテン語clare「明るくする、明確にする」が語源です。

ラテン語clareを基にして「きれいな」という意味の英単語clear, clean等が発生しました。

その他 Clareから生まれた派生語

例えば以下があります。

acclare:明確にする、明示する

接頭辞「ac-」には、~の方に向かってという意味があるため、clearな方向に向かってということから、「明確にする」という意味になりました。

declare: 明らかにする、宣告する

接頭辞「de-」は、「下に(down)」という意味を表す意味があるため、「下知する」つまり「宣言する」という意味になりました。(個人・団体・国家などが、意見・方針などを外部に表明すること。)

形容詞として: Clear

綺麗な、澄んだ、透明な、明るい、はっきりした、明瞭な、明晰な、障害のない、空っぽの、開いている、免除された、潔白な、全くの、晴れた等の意味があります。

動詞としての: Clear

「他動詞の場合」

~を綺麗にする、クリアする、全て取り除く、消去する。明確にする、はっきりさせる。通過する、通り抜ける。~の審議を通過する。返済する、清算する。

「自動詞の場合」

澄む、綺麗になる。晴れる。通過する。

副詞としてのクリア: Clearly

はっきりと、疑いもなく、明らかに、明りょうに等の意味があります。

一般的な用法のいくつかの例:

I cleared the table. テーブルを綺麗にした。(テーブルの上を片付けた。つまり何もない状態にする。)

Cleared the snow from the roof. (屋根から雪を取り除いた。屋根から雪を下した。もう雪はない。)

The draft cleared through (the) committee. 草案が委員会の審議を通った。

~の審議を通過する。の場合は、

「pass」的な意味合いで、「ゲーム、基準をクリアする。許可を得る。」のように試験や基準を通過すること、安全に通過する意味もあります。

I clearly remember my sister’s first day of school.(私は、妹が学校に行った初めての日をはっきり覚えています)

It was too dark to clearly remember what was happening. (暗すぎて、何が起こっているのかはっきりと分からなかった)

The report clearly shows that wearing of seatbelts is quite important while driving.
(その報告書は、運転中にシートベルトを装着することが非常に重要であることをはっきりと示している、)

In Kabuki, kumadori makeup clearly indicates the type of character being impersonated.

(歌舞伎では、隈取りと呼ばれる化粧によりどのような人物が演じられているか明確に示します。)

Let’s clear up any misunderstandings. (誤解を解消しましょう。)

It is becoming clear that this would be a serious problem. (これが大変な問題なりそうなことがだんだん分かってきた。)

At last, the researchers found a clear relation between cause and effect.(研究者は、ついに明確な因果関係を発見した)

「It is clearly that ~ (that以下が明らかである。)」

3. 英文契約書等での使われ方

「英文契約書等での使われ方」といっても、Clearについては、上記の一般的用法を線引きは難しいところですが、例えば、

free and clear of any deductions, withholdings(値引きもしくは控除がなされない)

free and clear of all liens, charges and encumbrances(すべての抵当権、負債ならびに債務がない状態で)

All Products information must be indicated on the invoice in a specific and clear manner.(すべての製品情報は、インボイスに具体的かつ明確な方法で記載する必要があります。)

Shave a clear and comprehensive understanding of(明確かつ包括的に理解している)

on the basis of a clear understanding by those employees of their obligation to (~する義務を従業員が明確に理解していることに基づき)

to clear the usage of the names, likenesses, photographs and other attributes of persons (人物の氏名、肖像、写真および他の属性の使用許可を得るために)

Each entry in the section on assets in the summary of the balance sheet of the Company must be subdivided into important suitable entries for the purposes of making clear the status of the property of the Company. (会社の貸借対照表の要旨における資産の部の各項目は、公開会社の財産の状態を明らかにするため重要な適宜の項目に細分しなければならない。)会社法

上記にいくつか、契約書における例文を作ってみましたが、clearは、経験的には、副詞の形Clearlyで、「明確に」、「明らかに」、「明示的に」のように使われるのが多く、見受けられます。

例えば、、The Supplier must clearly separate the Products per lot.(サプライヤーは、ロットごとに製品を明確に分けなければならない。)

All trucks used in the transportation of waste shall be clearly marked with wording as required by any relevant legislation or authority. (廃棄物の輸送に使用するすべてのトラックには、関連する法律または当局が定める文言を明示的に記載すること。)

It clearly violates the terms of the non-disclosure agreement. (それは非開示契約の条件に明らかに違反している。)

参考図書

英和大辞典(研究社)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

新英和大辞典 (研究社)

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press) 他

法令データベース

 

英文契約書の用語・単語 liableについて

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英文契約書の用語・単語の中で今回は、「liable」について見てみたいと思います。契約書では外せない単語の1つです。まずは、辞書で単語「liable」について主な意味を調べてみると以下の様な意味があります。

1. liableの意味

「(法律上の)責任を負うべきで」、「責任があって」、「(~義務に)服すべきで」、(「病気などに)かかりやすくて」、「~しがちで」、「…しそうで」等

実際に「liable」が使われる場合、「liable」は形容詞のため、英文契約書に限らず、多くは「liable」の頭に「be」を付け、後ろに「to」または「for」を付けた熟語「be liable to」、「be liable for」の形でよく使われます。

be liable to + 名詞または動詞。

とりあえず英文契約書や法律文書等で良く目にするbe liable toの例として、いくつか例文を作ってみました。

The Company shall not be liable for any damages other than those resulting from the obligations stipulated in this Agreement. (当社は、本契約に定める義務に起因する損害以外の損害については一切責任を負わないものとします。)

Neither party hereto shall be liable to the other party for failure to perform its obligations due to the occurrence of any act of God, fire, act of government or state, war, civil commotion, insurrection, embargo and any other reason beyond the reasonable control of either party.(本契約のいずれの当事者も、天災、火事、政府または国家の行為、戦争、内乱、暴動、禁輸、およびいずれかの当事者の合理的な制御を超えるその他の理由が生じた場合、その義務を履行しなかったことについて相手方に責任を負わないものとします。)

Neither Party shall be liable to the other for failure or delay in the performance of a required obligation. (いずれの当事者も、必要な義務の履行における不作為もしくは遅延に対し、相手方に対し責任を負うことはない。)

Neither Party hereto shall be liable to the other party for failure to perform its obligations hereunder or under any Order due to the occurrence of any act of God.

本契約のいずれの当事者も、不可抗力の発生により、本契約に基づく、または、注文に基づく相手方の不履行に対して、相手方に責任を負わせることはないものとする。

その他、法律文で使われる例として。

If a liquidator fails to discharge the liquidator’s duties, the liquidator is liable to compensate such Liquidating Stock Companies for any losses arising as a result.

(清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。)(会社法)

いずれもすでに述べた「(法律上の)責任を負うべきで」、「責任があって」の意味で使われています。

ところでこれとは別に、上記の「liable to」に関しては、以前2回ほど取り上げたことがある「subject to」が使われた英文契約書の文章を日本語にした場合、時として「liable to」を使用してある場合と同じような意味に訳せることがあります。英語のネィティブでも、「liable to」と「subject to」は同義語ではないかと思う人もいます。ただし、そこには微妙な違いがあります。以下を参照してください。

2.「liable to」と「subject to」の微妙な違い

A: In the case of “liable to”, an event is likely to happen but may not do so.

B: In the case of “subject to”, something has happened or is going to happen.

Aの「liable to」の場合、イベントが発生する可能性がありますが、発生しない可能性もあります。

Bの「subject to」の場合は、何かが起こったか、または起こりそうです。「subject to」の方が発生し易いようです。

英文契約書を作成する場合、この微妙な違いを考慮して、作成するとよいかもしれません。実際の英訳の場合、混同して使用している場合も多いようです。

上記を踏まえて、以下に、辞書から調べた「be liable to」の例文を掲載します。

3. liable toについて

be liable to~しがちだ、~しそうだ、~の傾向がある、~に傾きやすい、~する恐れがある:良くないことに用いられる表現。

・This computer is liable to break down any minute. : このコンピューターはすぐに故障する。

・He’s liable to do anything. : あいつはどんなことでもやりそうだ。

be liable to〔病気などに〕かかりやすい

be liable to~に対して責任がある、~する義務がある

be liable to a fine: 罰金を科される(可能性がある)

be liable to be wrong: 間違いやすい

be liable to criminal charges: 刑事責任に服すべきである

be liable to criminal punishment:刑事処分を受けるべきである

be liable to custom duty: 関税の対象である

be liable to err: 誤る恐れがある

be liable to make mistake: 間違いを犯しかねない

be liable to pay compensation: 損害賠償を支払うべきである

be liable to recurrence: 再発しやすい

be liable to variation: 変化しやすい

4. subject toについて

subject toの意味としは、

〈…を〉〔…に〕服従させる,従属させる, 〈人を〉〔いやな目に〕あわせる; 受けさせる, [subject oneself で] 〔…に〕身をさらす, 〈ものを〉〔…に〕当てる,かける, 受けやすくて,こうむりやすくて; 〔…に〕かかりやすくて,陥りやすくて等があります。

これらに加え、以前、ブログ「英文契約書の単語・用語 Subject toについて」で述べたように、「subject to」の立ち位置は、その後に続く内容を導入する役目を果たします。契約書の場合、例えば、subject to以降に記載の内容がacceptable(受け入れられる)であれば、その書かれた内容が受け入れられ、unacceptable(受け入れがたい)ものであれば、その書かれた内容は受け入れがたいものであることになります。

例えば、Supplier warrants that the price is not subject to increase.

(サプライヤーは、価格を値上げしないことを保証する。)

また、一般的は事実を述べるだけの場合でも、The contents of this manual are subject to change without prior notice.(本マニュアルの内容は、事前の通告なしに変更されることがあります。)

以下に、辞書から調べた「be subject to」の例文を掲載します。

be subject to〔法律・法則・規則など〕の支配下[影響下]にある

・This Agreement shall be subject to the laws of Japan. : 本契約は日本国の法律に従うものとする。

be subject to〔政府【機関】・管理組織など〕の認可[承認]を必要とする[受けることを条件とする]

be subject to ~しがちである、~の癖がある

be subject to~にさらされる、~を被る

・This region is subject to earthquakes. : この地域は地震が起こりやすい。

・The terms of the contract are subject to change. : 本契約の条件は変わることがあります。

be subject to~次第である、~に依存する

be subject to a $__ fine: _ドルの罰金を科せられる

be subject to a custom duty: 関税対象である

be subject to a major change: 大幅な変更の可能性がある

be subject to a special rule: 特別規則[ルール]の対象になる

be subject to a variety of influence: さまざまな影響を受けることになる

be subject to additional fee:追加料金の対象となる

be subject to adverse effect:弊害[悪影響]を受けることになる

be subject to an annual review:毎年見直される

be subject to appropriate criminal:しかるべき刑事処分を受けさせられる

be subject to approval by: (人)の承認を得ることを条件として

 

「liable to」と「subject to」について見てみました、英文契約書に限らず、これら2つの単語の意味を感覚的に理解するための一助になればと考えました。

参考図書

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

新英和大辞典 (研究社)

The New Oxford Dictionary of English (Oxford University Press) 他

 

英文契約書の単語・用語 Subject toについて

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Subject toは、英文契約書でも良く使用される用語の1つですが、英文契約書以外でも日常的に良く目にすることがあります。契約書翻訳の観点から見てゆきます。

1. Subject の意味

例えば、マニュアルなどに

The contents of this manual are subject to change without prior notice.

(本マニュアルの内容は、事前の通告なしに変更されることがあります。)

契約書翻訳の観点から「Subject to」について見て行く前に、単語「Subject」について改めてその意味を確認してみます。

Subjectとは、Random House®によると以下の大まかな意味があります。

a.主題、問題、課題、話題

b.学科、科目

c.対象、

d.題目、題材

e.テーマ

f.臣下、家来

g.被験者

2. Subjectにtoが付くと

単語の”Subject”の場合、主に「主題」「話題」「題材」「テーマ」等の意味で使われることが多いですが、”to”を付けて”subject to”というフレーズにすると以下の意味を持ちます。

1) ~の対象になる、~を受ける(必要がある)

2) ~を条件とし、~を前提とし、~に従い、

3) ~にさらされる、~の影響を受け易い、~に左右される、~しがちである

“Subject”は、日常的に使用する多くの場合において「主題」「話題」「テーマ」等の意味で使用するのが主であり、”to”が付いただけで元々にない意味が生じています。なにせ、アルファベットが26文字しかないためその26文字をフル稼働している感じです。だから英語は難しい

3. Subjectの語源

語源的に考えると、sub「下方に」ject「投げる‐例、inject、project、eject」が語源で、「下の立場に投げ渡す→従える、従う」ことから主語、主題以外にも「被験者、臣下」等の意味が派生しました。そのため、”subject to”では、「さらされてる」、「影響を受けやすい」または「対象となる」のように全くもって「受け身感」が漂うようになります。

ここで分かりやすくするため、以下に例文を記載します。

be subject to breakage (壊れやすい、破損しやすい)

be subject to danger (危険にさらされている)

be subject to error (誤り[間違い]が生じやすい)

be subject to a custom duty (関税対象である)

be subject to a __% tax ( _%の税金が課される)

be subject to audit (監査を受ける)

be subject to exception (例外を受ける)

be subject to availability (在庫があれば)

be subject to change (〔仕様・価格などが〕変更されることがある)

be subject to shareholder approval (株主の承認を条件とする)

be subject to the following:(下記の条件に従って)

4. 「subject to」はその後に続く内容を導入する役目を果たす

上記のように、「subject to」の立ち位置は、その後に続く内容を導入する役目を果たします。subject toの文章は、その後に続く内容が優先されるため、後に続く内容があってこそ成立すると理解すると良いのでは思います。

従って、契約書の場合、subject to以降に記載の内容がunacceptable(受け入れがたい)であれば、その文章自体が受け入れがたいものであることになります。ここが契約書を見るチェックポイントではないでしょうか?そして、カウンターオファーができる場合、カウンターオファーを行います。

5. 契約書等で見られる「subject to」を使用した例文

以下に”subject to”の文例をいくつか作成(*を除く)してみました。

Any actions or claims arising out of or related to this Agreement shall be subject to the exclusive jurisdiction Tokyo District Court for first tail

(本契約に起因または関連するあらゆる訴訟または申し立ては、東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とします。)

Supplier warrants that the price is not subject to increase.

(サプライヤーは、価格を値上げしないことを保証する。)

Any transfer of this license is subject to the following restrictions:

(本ライセンスの譲渡は、以下の制限に従います。)

*Appurtenance shall be subject to the disposition of the principal.

(従物は、主物の処分に従う。)

参考図書

新英和大辞典 (研究社)

Random House English-Japanese Dictionary (小学館)

法律英単語(自由国民社)他