契約書翻訳の観点から、英文契約書で経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる英文契約書でよく使われる単語と用語を取り上げています。今回は、以前の続きで「e」から始まる用語・単語の中からいくつかとりあげてみました。記載例については、作成した例文(法律文を除く)を通してみてみます。
events of default:債務不履行事由、期限の利益の喪失
「債務不履行事由」はそのままの意味です。「期限の利益の喪失」について一応確認してみると「期限の利益」とは、「期限が定められていることによって債務者が受ける利益。例:債務の返済期限がある場合、債務者にはその期限が来るまでは債務の返済義務はなく、返済を求められることもない。」「期限の利益の喪失」とは、例えば、債務者が破産した場合、期限の利益を失い、債権者は期限の利益によって猶予されていた債務の履行を、債務者に請求できるようになります。(これについては、さらに多くの理解が必要ですが、とりあえずこのあたりで押さえておきます。)
「破産した場合」と仮定していますが、一般に喪失の理由は、契約ごとに定められています。
作成した例文で見てみます。
債務不履行事由の例:(契約違反としても可)
Upon the occurrence of Events of Default, Party A may, at its sole option, give to Party B the notice of termination of this Agreement. (債務不履行事由の発生時、当事者Aは、その独自の選択により、当事者Bに本契約の終了通知を与えることができます)
「events of default」としましたが、周知のように「default」だけでも、義務の「不履行」、「債務不履行」の意味があり、「events of default」としなくても、例えば、Neither party shall be liable for any default or delay in performance of any obligation under this Agreement caused by Act of God, war, riot, fire, beyond the reasonable control of such party. (いずれの当事者も、当事者の合理的な制御を超えた天災、戦争、暴動、火災によって引き起こされた本契約に基づく義務の不履行または履行の遅延については責任を負わない)
If a party hereto fails to perform the services under this Agreement such party shall justifiably lose the events of default and immediately liquidate all monetary liabilities borne by such party to the other party. (本契約の当事者が本契約に基づくサービスの履行を行わない場合、当該当事者は不履行事由を当然に失い、当該当事者が相手方当事者に対して負担するすべての金銭債務を直ちに清算するものとする)
「期限の利益の喪失」に相当する用語は、そのほかにも、「Forfeiture of Benefit of Time」などがあります。契約書を起草する場合、これを使うほうが分かりやすいかもしれません。
If either party falls under any of the events of default provided in this Agreement, such party shall forfeit the Benefit of Term regarding any and all liabilities. (いずれかの当事者が本契約に規定されているいずれかの債務不履行事由に該当した場合、当該当事者はあらゆる債務に関する期間の利益を失うものとする)
The benefit of time stipulation may be waived. (期限の利益は、放棄することができる。)(民法)
今回は、「e」から始まる用語・単語の中から「events of default」について思いつくままに書いてきました。なを、内容を参考にされる場合は、辞書・専門書をご確認の上、ご自身の責任でお願いします。
参考図書:
法律用語辞典(有斐閣)
カレッジライトハウス和英辞典(研究社)
法律英単語ハンドブック(自由国民社)
日本法令外国語訳データベースシステム