Creditとネコの話とCreditと犬の話ほか。

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単語Creditは様々な意味と使われ方がなされます。これまで主に契約書翻訳の観点から見たCreditの使われ方を中心に何回か取り上げました。最近、いままで掲載した内容以外でも興味のある使われ方を目にする機会がありました。そこで改めて、以前の投稿から「creditとネコの話」と「creditと犬の話」をメインに単語creditについてまとめてみました。

1. 生活のさまざまの場面で使われるCredit:Creditの感覚的理解は大事なことだと思います。

単語Creditは、「クレジット」として日本語化していますが、英語としてみた場合、さまざまな意味がりあります。ネイティブは、生活のいろいろな場面で単語creditを使います。辞書を引くと多くの意味がかいてありますが、「Credit」の感覚的理解の一助ということで、以前にとりあげた「Creditとネコの話」と「Creditと犬の話」から入ってみます。*これらの意味については後述。 以下は、いずれも*ツイッター(個人的アカウント)上のやり取りの中で体験した内容です。

a. 「creditとネコの話」:「Credit」という単語についてツイッター上のやり取りの中での体験から

経緯としては、「ネコがワニにパンチをし、ワニが逃げ出す動画」が面白かったので、リツィートしたところ、米国人のフォロワーさんからコメントが送られてきました。内容は、「なんて勇敢なネコだろう!!ネコは素晴らしい!!ネコが大好きです」と綴られ、その後に、「Cats aren’t given enough credit.」という一文がありました。直訳すれば「ネコは、十分に認められていない」、「ネコは、十分な信用を与えられていない」等になりますが、文脈的(書いた方の心情)に「ネコは、正当な評価を受けていない」とでも言うのでしょうか。辞書を見ると、たしかに「信用、名声、評判」もあります。

話は「ネコ」にもどり、コメントを頂いた方の意見に同意する旨の返事を送りました。ただし、コメントを送ってきた方が、このやり取りをツイッターのタイムラインに投稿したため、別の方からもコメントが送られてきました。
内容は、It’s true they aren’t given enough credit, から始まる内容で、「ネコが正当な評価を受けていないことは事実であるが、ネコは、鳥を殺すので、ネコに鈴を付けろ、云々」という内容でした(ネコに鳥を殺された経験がある人のようです)。ここでも、「Credit」という単語を使っています。ネイティブの方は日常会話の中でCreditを普通に使います。

b. 「creditと犬の話」:「Credit」という単語についてツイッター上のやり取りの中での体験から

ツイッターのフォロワーさんからの投稿で、2匹の犬が1本の棒を仲良く口にくわえている写真が掲載されたツィートがありました。このキャプションは「Two friends sharing equal credit for capturing a stick」というものでした。この写真を掲載した経緯の説明はありませんが、ここにおける「Credit」(名詞)は「名声、評判、名誉」の意味で使われています。
写真では見えませんが「しっぽ、フリフリ」で自慢げにご主人様に獲物の枝を見せて、ご主人様の「オー、よしよし」という賞賛の声が聞こえてくるようです。
「二人は友達だから、獲物を取ったお手柄(名誉)も半分ずつに同じように分け合います。」のように訳せるのではないでしょうか。このあたり、「Credit」を感覚的に理解していないと、文の意味をとらえるのは難しいかもれません。

c. Creditによる著作権の帰属についての表現
これもツイッターを例にとったはなしですが、例えば、ツイートした画像の著作権を明示する場合、Creditを使い、All pictures are credited to their respective owners.と書いてあることがあることあります。(辞書を見ると「credit to」は多くの場合、「貸し方に記入する」となっていますが、この場合、「自分のTwitterのサイトに載せているすべての写真の権利は、それぞれの所有者にあります。」とすれば分かりやすいのでは。もちろんこの件については、Creditを使わないさまざまな書き方があります。例えば、All photos belong to individual owner.等

*ここに出てくるツイッターの内容は、「筆者個人のTwitterアカウント」からのものです。ここにとりあげた以外にもさまざまな「Credit」の使い方に出会います。個人的に「Credit」を感覚的に理解するのに助かります。

2. 「Credit」についての英語独特の概念-例えば、A(債権者)とB(債務者)双方の立場を表すのに「Credit」が使われることがあります。

例えば、AがBにお金を貸した場合や商品を売った場合、Aからすると貸したお金や販売代金は、「債権」となり、お金を借りたり、商品を買ったりしたBからすると借りたお金や商品を買った代金は、「債務」となりますが、「Credit」を使って表現する場合、A(債権者)の立場では、「my credit to B」、一方、B(債務者)の立場では、「my credit from A」となります。日本語の感覚からすると債務者B立場からは「my debt」としてもよさそうなものですが、多くは、双方の立場を表すのに「Credit」が使われます。
なお、英文契約書では以下の様表現もあります。
The Buyer shall credit the payment for goods to the Seller’s account by due date.(買主は、支払い期日までに商品代金を売主の銀行口座に入金するものとします。)

3. その他
a. 最近気になったCredit:映画などで使われるCreditほか
この場合のCreditの意味としては、「出版物・演劇・放送番組などに使用された材料の提供者に口頭または紙上で表わす敬意」です。たまに手掛ける映画配給契約、コンテンツ配信契約等で良く目するのですが、上記の債権・債務を表すCreditと混在してこのCreditが出てくることもあります。その他、最近の案件では、学校の履修単位や科目のCreditがありました。

b. その他のCreditの主な意味
名詞としての意味:信用、名声、名誉、功績、信用貸し、掛け売り、支払猶予期間、預金残高、履修単位、(映画などの)クレジット表示等。

動詞としての意味:~を信用する、貸方に記入する、銀行口座に入金する、(功績などを)認める、(学生に)単位を与える、の名誉となる等。
そのほか、他の語と組み合わされて成句を作ります。例:credit inquires (信用調査)、consumer credit(消費者金融)、credit beneficiary (受益債権者)等、その他様々成句があります。

契約書翻訳という観点から、単語・用語について文法的・法律的側面を除き、知っておいて損はないすぐに使えそうな知識としての英単語・用語について書いてきましたが、「Credit」にひとつを例にとっても、ある単語を理解するには、契約書翻訳の観点からの理解だけでは不十分です。おおげさに言えば、何百年のかけて培われてきた英語圏の文化の一端にふれるわけですから。

参考図書:

トレンド(小学館)

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

 

 

 

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