今回は、defectについてです。英文契約書でもいろいろな場面で使われますが、典型的な一例としては、引き渡された商品または提供されたサービスに瑕疵があった場合、商品を受け取った、またはサービスを提供された当事者がどのような救済や補償を受けることができるか、という文脈で使用されます。「瑕疵」という言葉を改めて辞書で確認すると、「きず、欠点、あやまち」「法律で、通常あるべき品質を欠いていること。また、意思表示に詐欺あるいは強迫などの事由があること。」と示されています。英和辞典でも、主な意味は、「欠点、欠陥、弱点」等となっています。
ここでは、defectに関連して商品の保証、瑕疵の検査、瑕疵の取り扱い、瑕疵に起因する救済や補償の方法、その他法律的な部分に踏み込むことはせず、英文契約書で単語defectがどのように使われているかのみに絞り、作成した例文を通して使い方を簡単に見てみます。
1. defectの用例
If the Purchaser has found a defect after the acceptance inspection, the Purchaser shall promptly report the Buyer of such defect in writing and the Buyer shall promptly provide the Purchaser with the replacement. (受領検査の後、買主が瑕疵を発見した場合、買主は、かかる瑕疵につき書面により売主に速やかに報告を行い、売主は、速やかに買主に代替品を提供する。
If the Purchaser finds a defect at a later date, the Purchaser shall also report this without delay.(買主が、後日、瑕疵を見つけた場合、買主は、遅滞なく、このことを報告する。)
上記の例文では、「物品の瑕疵」についての内容ですが、「物品の瑕疵以外の瑕疵」については、以下のような感じになります。
Systemic Failure means, in relation to the Equipment, a material defect which:
(システムの不具合とは、装置に関連して、以下の重大な瑕疵を意味する。)
Program Error means a reproducible defect or combination of defects in the Software that results in a failure of the Software.(プログラムエラーとは、ソフトウェアの不具合をもたらしたソフトウェアの再現可能な瑕疵または瑕疵の組み合わせを意味する。)
2. 他の語との組み合わせ
defectを使用した例として、「英文契約書の用語、構文(その17)でとりあげた「free from defects」などがあります。
The Products shall be free from defects in workmanship and material. (製品は、仕上がりと材料に瑕疵がないものとする。)
その他、defectと他の語を組み合わせた用語は、主なもので、形容詞も含めるとdefect in title(権原の瑕疵)、defect liability(欠陥責任)、defective declaration of intention(瑕疵のある意思表示)、defective title(瑕疵のある権限)
3. defectの類語
defectの類語には、「fault」があります。faultの主な意味は、(過失の)責任、誤り、過失、違反、欠点、欠陥、瑕疵、故障等です。defectの類語ですが、経験的に多くは、以下に作成した例文のような使われ方をします。
The information that is at the time of disclosure already in the public domain or becomes available from public sources through no fault of the Recipient.(開示時点においてすでに公知である情報、または「受領当事者」の過失によることなしに、一般の情報源から利用可能になった情報。)
その他、defectに相当する語として、failure(不履行、故障、不具合等)、malfunction(故障、不具合等)等があります。
これらの単語は、英文契約書に限らず、当方で扱っている技術書・マニュアル等でもいわば常連の単語です。最初に述べたようにdefect・faultが関連する分野は、多岐にわたります。ブログ程度は収まらない内容を含んでいますが、機会があれば、それらの表面だけでも少しずつ眺めてみたいと思います。
参考図書:
研究社新英和大辞典(第5版)
ビジネス法律英語辞典(日経文庫)
法律英単語(自由国民社)