英文契約書翻訳に携わる中で、経験上、よく目にしたり、よく使われたり、または知っておいて損はないと思われる単語と用語について、契約書翻訳の観点から簡単な例文を作成してその用例(一部ですが)を見てみます。
今回は、audit、authorityやawardといった単語を中心に例文をとりまぜてみて行きます。
audit |
監査、審査、検査 契約書、法律、ビジネス文書では、「会計、会社、システム等にかかわる監査」の意味で使われることが多いようです。すぐに思い浮かべるのは、やはり「会計監査」です。 「会計監査」は、auditing、audit of the accounts、accounting audit等と記載されます。 監査を行うのは、「auditor」で監査人、監査役と称される職務です。 「auditor」の意見は、[audit (auditor’s) opinion]です。 委員会設置会社では、「Audit Committee」- 監査委員会が置かれます。 内部監査(Internal Audit)のほかに、外部の第三者による外部監査(External Audit)(例:一般には、公認会計士や監査法人による会計監査)もあります。 監査結果を記載したものが、[Audit Reports ]-監査報告書、「Accounting Audit Report」-会計監査報告書等です。 外部からの監査を受ける会社(被監査会社/監査を依頼した会社)は、例えば、「audited company」とか「audit client company」等と記載されることがあります。 契約によっては、相互に、または相手方になんらかの監査を行うものもあります。 The audit shall be conducted at Party A’s expense.(監査は、甲の費用により実施されるものとする。) |
authentic |
真正な |
authenticated copy |
正本 |
authentification |
判例,権限,関係官庁 |
authority |
権限、職権、許可、認可、権威。 「オーソリティ」として日本語でも使用されます。 様々な場面で使用され、また他の語とくみあわされて成句を作ります。例:「delegation of authority」-権限の委譲 |
authorization |
委任、権限を与えること、認可、許可、許諾、承認 The committee shall obtain authorization of the local authorities.(委員会は、地方公共団体の許可を受けなければならない) |
autonomy |
自治,自主性 |
avoidance |
無効,取消,回避 |
award |
裁定,裁判所などの評決,裁定額、仲裁人の仲裁判断、賞、賞金等、さまざまな意味がありますが、英文契約書で用いる場合、多くは、最初の4つの意味で使われるようです。 文章の内容により訳語を確定します。 The arbitration award shall be final and binding upon the Parties (仲裁の裁定は、当事者に対し最終的なものであり、当事者を拘束する) Monetary award for the advertisement of a business conducted in Japan, which is specified by a Cabinet Order.(国内において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの)-所得税法 |
ここに記載してない単語、用例も多くあります。さらに詳しくお知りになりたい場合は、辞書、専門書をご覧ください。
「単語」の範囲も、主に、いわゆる民事、特に契約書で良く使用されるものとしました。
参考図書
- 法律用語辞典(有斐閣)
- 英和大辞典(研究社)
- コンパクト六法(岩波書店)
- Trend (小学館)
- Oxford Dictionary of English
- 日本法令外国語訳データベースシステム他